(VOVWORLD) - 先週、インドネシアで開かれたIMF=国際通貨基金は、米中貿易摩擦が、世界経済の成長を停滞させるリスクになっているとし、リスクを軽減するための行動を取るべきだとする声明を発表しました。
IMFは今回の発表で、2018年と2019年の世界全体の経済成長率を3.7%と予測しました。7月に発表された前回の見通しでは経済成長率予測は3.9%でしたが、今回は0.2ポイントの下方修正となりました。IMFは短期予測に対するリスクが「下方に傾いている」と述べました。
世界経済成長の下方修正は、ユーロ圏の拡大が鈍化するとの予測や、多くの新興市場経済における混乱も反映しています。経済危機が発生しているベネズエラは2019年、6年連続の景気後退に突入すると予想されており、来年にはインフレ率が1000万パーセントに達するとの予測もあります。
最近IMFからの資金援助に合意したアルゼンチンも、2018年と2019年は経済が縮小する見込みです。IMFは、もしアメリカが全ての輸入車に25%の関税を導入するとの脅しを実行すれば、世界の成長率は決定的な打撃を受けると警告しました。
この最悪のシナリオでは、アメリカ経済は深刻な傷を負います。また同時に、現在6.2%となっている中国の2019年の経済成長率予測は、5%未満まで下落します。
中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁は、IMF・世銀総会が開催されたインドネシア・バリ島での討論会で、貿易摩擦による世界経済のリスクは「甚大」と憂慮しました。総会などで「面会した十数カ国(の代表者)は全て経済への悪影響を感じていた」と指摘しました。総裁は11日にムニューシン米財務長官と会談していました。易総裁はさらに、アメリカによる制裁関税は、中国で事業を行う外資系企業を含めて打撃を受けると警告しました。
現在、国際世論は、トランプ大統領と中国の習近平国家主席が、11月末にアルゼンチンで開かれるG20=20カ国・地域首脳会合が行われると期待されています。この首脳会合を通じて、双方は、両国間の貿易摩擦を緩和するために、幾つかの合意を達成するとしています。