では次に5月9日からの一週間の主な国際ニュースをまとめてお伝えします。
* 先週、NATO=北大西洋条約機構のミサイル防衛システムの一環として、アメリカが東ヨーロッパで地上配備型の迎撃ミサイルの運用を始めたことについて、ロシアのプーチン大統領は新たな軍拡競争につながると強く批判し、対抗措置をとる考えを示しました。ロシアはウクライナからクリミアを併合したあと、アメリカが主導するNATOがロシアとの国境近くで軍事力を増強していると批判していて、バルト海の上空で米ロの軍用機が異常接近するなど、双方の間で対立が深まっています。
* 先週、ロシアの首都モスクワ中心部の赤の広場で、71年前の第2次大戦勝利を祝う対ドイツ戦勝記念日の式典が開催されました。プーチン大統領は「結束と祖国への献身こそがわれわれの力、自信、尊厳だ」と演説しました。ウクライナ問題などで欧米と対立する中、愛国心を鼓舞して国民の団結を訴えました。
* ブラジル上院は12日、政府会計粉飾の責任を問われていたルセフ大統領の弾劾裁判の開始を賛成55、反対22で決議しました。ルセフ氏はこの日から最大180日間の職務停止処分となり、連立を離脱していたテメル副大統領が暫定大統領に就任しました。これで13年続いた中道左派の労働党政権が事実上、幕を下ろしました。
*先頃、欧州議会は、中国は「市場経済国」として認める条件を満たしておらず、欧州の産業や雇用を守るため、厳しい反ダンピング(不当廉売)措置がなお必要だとの決議を採択しました。中国を巡っては世界貿易機関(WTO)協定で「非市場経済国」と扱う条項が12月に失効されます。自動的に市場経済国へ移行するとの中国の主張に理解をみせる欧州委員会に議会がクギを刺しました。
* フランス国民議会(下院)は先週、同国で論争を巻き起こしている労働法改正法案を強制通過させた社会党内閣に対し、不信任決議案の採決を行いました。窮地に立たされた同内閣でしたが、この決議案は否決されました。中道右派の野党・共和党が提出した内閣不信任動議は、賛成246票を得たものの、内閣を退陣させるのに必要となる288票には届きませんでした。労働法改正法案は今後、上院で審議されました。その内、パリのデモでは、機動隊が去った直後に覆面姿の若者らがデモ隊や報道陣と衝突するという暴力行為も発生しました。
* 先週、ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合は、同ウェブサイトのデータベースで世界200カ国と地域の21万件以上の租税回避を目的とするオフショア企業の情報を公開しました。リストの中では中国、香港、台湾の関係者数がトップ3でした。しかし、ICIJは個人情報の尊重とプライバシー保護の方針で、関係者の銀行口座、電話番号やパスポートの情報などを非公開としています。