(VOVWORLD) - 先週、アルゼンチンで開幕されたG20=主要20カ国・地域首脳会議は、深刻化している衝突を解決するための貴重な機会であると評されています。
会議は期待通りの結果を収めなかったものの、関係各国は交渉を進めることで一致し、深刻な事態は当面回避されました。主要20か国の首脳らが参加するG20首脳会議を前に、国際世論はこの会議は、先ごろ、共同宣言を採択せずに閉幕したAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議と同様に決裂するとの懸念を示しました。
アメリカのトランプ大統領は現地に向かう機中で、ロシアによるウクライナ艦艇の拿捕事件を受け、ロシアのプーチン大統領との会談を中止する決定を下したからです。一方、トランプ大統領と中国の習近平国家主席はG20首脳会議に際し、ブエノスアイレスで会談しました。両国の貿易摩擦が激しさを増す中で、自由貿易の推進など世界経済の成長に向けた対応や、気候変動などの国際的な課題に、協調姿勢を示せるかが焦点となりました。トランプ政権は中国による知的財産権侵害などを理由に、今年7~9月に中国からの年間輸入額のほぼ半分に当たる計2500億ドル(約28兆円)相当に制裁関税を発動しました。このうち2000億ドル分の追加関税率(現行10%)について、来年1月1日から25%に引き上げる方針を示していました。新たな通商協議をめぐっては、米中の思惑の違いもうかがえました。中国側は「アメリカの合理的な関心事については、一歩一歩解決を図る」とし、貿易不均衡の是正や知的財産権保護の取り組みには一定の時間が必要との認識を示していました。これに対し、アメリカ側は早期の成果を求めており、協議が90日以内に妥結しない場合には、中国製品に対する追加関税率を25%に引き上げる構えでした。中国のハイテク振興策「中国製造2025」の扱いなど、協議の対象範囲でも今後、両国がすれ違う場面も予想されました。
こうした中、G20首脳会議に際し、プーチン大統領とトランプ大統領が短い即席の会談を行いました。この会談には、プーチン氏がウクライナ危機に関するモスクワの立場について明確な見解を示し、双方の適切な対話にチャンスを作り出すと述べました。
G20首脳会議は、期待通りの成果を収めませんでしたが、緊張情勢の緩和が図られ、次回の交渉に道筋を切り開くとしています。