インドのモディ首相が訪露 3期目政権発足後初外遊、対中戦略見据え連携強化図る
(VOVWORLD) - インド外務省によりますと、両首脳は国防、貿易、投資、エネルギー協力など二国間問題について検討し、地域や世界の動向に関する意見を共有する予定です。
インドのモディ首相は8日、ロシアの首都モスクワを訪問し、プーチン大統領と夕食を共にした後、9日に首脳会談を行います。モディ氏は6月に3期目の政権を発足させた後、初の外遊先としてロシアを選びました。インドとロシアの関係強化を図る背景には、対中国戦略を見据えた意図があるとみられます。
モディ氏の訪露は2019年9月以来で、2022年のロシアによるウクライナ侵攻開始後では初めてのことです。両首脳は国際会議の場や電話での会談を重ねてきましたが、今回のような定例の年次会談としては、2021年12月以来となります。
インド外務省によりますと、両首脳は国防、貿易、投資、エネルギー協力など二国間問題について検討し、地域や世界の動向に関する意見を共有する予定です。
インドは、ロシアと冷戦期のソ連時代から伝統的な友好関係を維持してきました。インドは「世界最大の民主主義国家」を自任しながら、ウクライナ侵攻に関しては、国連総会などでの民主主義陣営によるロシア非難には加わってきませんでした。先進7カ国(G7)によるロシア産原油に対する制裁にも同調せず、ロシアからの安価な原油購入を継続しています。
インドの非同盟、多国間主義による「実利外交」の結果として、対中国戦略においてもロシアとの連携が重要視されています。ロシアはインドの主要な武器供給国であり、ウクライナ侵攻などで中国依存を深めるロシアが将来、インドへの武器輸出を躊躇する事態を避ける必要があります。
また、BRICSや上海協力機構(SCO)といったインド、ロシア、中国が参加する国際的枠組みでも、中国の主導権を抑えるためにインドとロシアの結束が求められています。
インドは6月にスイスで開かれた「世界平和サミット」に代表を派遣しましたが、ウクライナの「領土保全の尊重」などをうたった共同声明には署名しませんでした。これに対し、西側諸国からは民主主義の価値観を共有する観点から厳しい視線が向けられています。
今回の首脳会談直後には、ワシントンで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が開催されます。モディ氏がプーチン氏に対し、ウクライナ侵攻についてどのような発言をするか、西側諸国から注目されています。(産経新聞)