オバマ大統領 トランプ氏けん制 さらなる改革呼びかけ
(NHK)アメリカのオバマ大統領は任期最後の演説を行い、多様性の尊重や地球温暖化対策の重要性を訴えて、トランプ次期大統領をけん制するとともに、国民に向けて、みずからの2期8年の実績を土台に、さらなる変革に取り組んでいくよう呼びかけました。
2008年の大統領選挙で「チェンジ=変革」を掲げ、黒人として初めてアメリカの大統領に選ばれたオバマ大統領は、今月20日に退任するのを前に、10日に地元シカゴで任期最後の演説を行いました。
(写真:AFP/TTXVN)
この中で、オバマ大統領は「あなたたちのおかげで、アメリカはよりよく、強い国になった」と述べました。
そして2期8年の間に、リーマンショックで悪化した失業率の改善や地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」などを実現したとして成果を強調しました。
一方で、オバマ大統領はトランプ次期大統領が選挙中、温暖化に懐疑的な立場を示していたことを念頭に「問題を否定することは将来の世代を裏切ることになる」と批判しました。
さらにトランプ氏が不法移民の強制送還を主張していたことなどを念頭に、多様性を尊重することが重要だと訴え、トランプ氏をけん制しました。
また、演説の中でオバマ大統領は、みずからを支えたミシェル夫人らをたたえ涙をぬぐう場面もありました。
そして、国民に向けて、みずからの実績を土台にさらなる変革に取り組むよう呼びかけ、最後に「イエス・ウィー・キャン」と述べて、演説を締めくくりました。
アメリカの首都ワシントン近郊では、オバマ大統領の任期最後の演説を大型スクリーンで見守るイベントが開かれました。
参加した黒人女性の1人は「非常に心が動かされる演説だった。今アメリカは分断に直面しているが、オバマ大統領の言葉で励まされた。多くの人がトランプ次期大統領の政策を懸念している」と話すなど、参加者からはオバマ大統領の退任を惜しむ声が聞かれました。