オバマ・ブンチャーとは


山崎
  こんにちは、山崎千佳子です。 

ソン  こんにちは、ソンです。

山崎 今日のハノイ便りの話題はブンチャーということですが、今月初めに「ハノイの名物料理」をこの時間にご紹介しましたね。

ソン はい。その時もブンチャーについてお話ししたんですが、オバマ大統領が食べたブンチャーが大人気になっているんです。

オバマ・ブンチャーとは - ảnh 1
ハノイ市内の「フォン・リエン」店で
ブンチャーを食べているオバマ大統領

山崎 5月に、アメリカのオバマ大統領が日本でのサミット前にベトナムを訪問したんですよね。ハノイ市内のローカルベトナム料理店でブンチャーを食べたのが大きな話題になりました。

オバマ・ブンチャーとは - ảnh 2
ハノイの名物料理「ブンチャー」

ソン はい。もともと人気のある店でしたが、オバマ大統領が来てからはさらに注目されています。

山崎 ブンチャーはハノイでできた食べ物なんですよね。同じくハノイの名物料理のフォーとどちらが人気でしょう?

オバマ・ブンチャーとは - ảnh 3

ソン 難しいですね。どちらもハノイ人には欠かせない食べ物です。ブンチャーのブンとフォーの麺は同じ米の粉、米粉()からできているのは知っていますか?

山崎 どちらも米粉なのは知ってましたけど、そうか元は同じものなんですね。

ソン そうなんです。日本ではビーフンと言われているものです。ビーフンのように麺の()()が丸いものはブン、平打()ちのものはフォーと呼ばれるんです。

山崎 なるほど。形状で名前が変わるんですね。

ソン はい。ブンの作り方ですが、まず、米に水を加えながら()いて、白く()った液体にします。これをろ過したものを、小さな穴がたくさん開いた容器に入れて押し出します。それを沸騰()した()で茹でるとブンの出来上がりです。

山崎 ブンチャーのチャーは豚肉のつくねですね。付け合わせの野菜、主にハーブ類ですが、それと揚げ春巻きや炭火で焼いた豚バラ肉、豚肉のつくねをブンと一緒に甘酸っぱいタレにつけて食べるのがブンチャーになります。

ソン つけダレは魚から作られた魚醤()、ヌックマムをベースに、酢や砂糖、青いパパイヤなどで作られています。

山崎 何回かお話ししたことがありますが、私の周りのハノイに住む日本人はみんなブンチャーが好きです。日本人が好きな味だと思います。

ソン 山崎さんも好きなんですよね?

山崎 はい。近所においしいブンチャーやさんがありますし、ベトナム料理を食べるときは、大体ブンチャーをオーダーします。私は、フォーより好きですね。

ソン ブンチャーを初めて食べた時の感想は?

山崎 「おいしい!」です(笑)。つけダレも甘酸っぱさのパンチがきいていて、炭火焼の豚肉とつくねも大好きです。

ソン わかります。ブンチャーはハノイ市民ほとんどが好きな料理で、朝食以外、毎日食べていると思います。

山崎 朝食には食べないですか?

ソン 朝はフォーで、昼か夜にブンチャーという感じでしょうか。ブンチャーの店も昼前から始まりますし。

山崎 そうですね。朝はやってないですね。ハノイにはブンチャーの店がたくさんありますが、やはりお店によって味は違いますね。

ソン はい。ブンチャーはシンプルな料理ですが、美味しいブンチャーを作るためには、経験や()()が必要です。特につけダレは重要で、それで味の9割が決まってしまうと言われています。

山崎 へえ。でもわかります。チャー、炭火焼の豚肉は大体どこも味が同じですから、タレがポイントですよね。

ソン そして、地方によっても味が違います。ブンチャーは元々ハノイの料理ですが、ホーチミンの人たちも好きなようでホーチミン市内にブンチャーの店がたくさんあります。ハノイに比べると、ホーチミンのつけダレは少し甘めにできているようですね。

山崎 日本でも出汁が関東と関西で違いますからね。ハノイとホーチミンの味付けが違うのも納得いきます。

ソン フォーも、ハノイとホーチミンの味付けは違いますし。

山崎 日本では、まだフォーの方が知られていると思いますが、世界的にはブンチャーがどんどん有名になってきているようですね。

ソン そうなんです。おととし、2014年の11月に、アメリカの月刊誌、ナショナルジオグラフィックのウェブサイトで発表された「世界のストリートフード10選」の一つに、ブンチャーが選ばれたんです。

山崎 すごい認知度じゃないですか?

ソン はい。各国を旅行した際に食べたストリートフードの中で最も美味しかったものを記入してもらう形で、読者の意見をまとめたものだそうです。「炭火焼()きの()ばしい匂いがたまらない」とか「フォーを超える」とコメントされています。

山崎 同感です。初めにお話ししたオバマ大統領が訪れたブンチャーのお店ですが。

ソン はい、およそ20年前に開店したブンチャー専門店です。ハノイ旧市街から南へ2キロほどのところにあるレー・ヴァン・フー通りにあります。

山崎 古くからの人気店ということですが、オバマ効果がすごいみたいですね。

ソン そうなんです。昔から、地元の人だけでなくて、ハノイ在住の外国人もよく訪れていました。それが、オバマ大統領が来た後は、国内外からの観光客が急増しています。

山崎 大統領と同じものを食べてみたいということなんでしょうね。私もそう思います(笑)。

ソン 同じように思うハノイ出身の女性(Nguyen Ngoc Huyen)のコメントです。

(テープ)

「今オーストラリアに留学していますが、オバマ大統領がこの店でブンチャーを食べたというニュースを聞いて、一度食べてみたいなあと思っていました。夏休みに一時帰国したので、食べに来たんです。美味しかったです。」

ソン 大統領の来店後、この店は「オバマ・ブンチャー」と呼ばれるようになりました。また、インターネットでも「ブンチャー・オバマ」と検索すると、たくさん情報が出てきます。

山崎 そうなんですよね。インターネットはすごいです。もともとの人気店が大変なことになっているんじゃないですか?

ソン はい。オバマ効果で、ランチタイムには、3階建てのこの店で席を探すのが難しくなっています。地方から来た人や海外からの観光客がぐんと増えました。

山崎 韓国人観光客の話です。

(テープ)

「オバマ大統領がこの店でハノイ料理のブンチャーを食べて好きになったことを聞いて、ここのブンチャーを味わってみたいと思いました。友達と一緒に来ましたが、みんな美味しいと言っていました。また来たいです。」

山崎 店には、オバマ大統領の夕食風景を撮った写真が大きく引き伸ばされて、1階から3階までそれぞれの階に飾られているそうです。メニューには「オバマコンボ」が登場しました。

ソン はい。たくさんのお客さんがオバマ大統領と同じメニューを注文するので、セット内容と値段が一目()でわかるようにしたんだそうです。

山崎 オバマコンボは、ブンチャー1人前と海鮮揚げ春巻き1つ、ハノイビール1本のセットです。お値段は、8万5千ドン、日本円で400円ちょっとです。

ソン 今年の9月には、アメリカのCNNテレビがこの店を取材する予定です。

山崎 そうすると、さらに海外からのお客さんが殺到しますね。ブンチャーが世界的に有名になるのも時間の問題ですね。日本でもブンチャーがフォーを超える日が来るかもしれません。では、おしまいに一曲お送りしましょう。

(曲)

「~」をお送りしました。

今日のハノイ便りは、ハノイ料理のブンチャーについてお伝えしました。そして私事ですが、来週から1か月ちょっとお休みを頂きます。また9月10日のハノイ便りから担当させて頂きますので、よろしくお願いします。それでは、今日はこのへんで。


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