ディエンビエン省の観光促進


山崎  こんにちは、山崎千佳子です。ソンさんとハノイ便りをお送りします。ソンさん、よろしくお願いします。

ソン  お願いします。今日の話題は、ディエンビエン省が力を入れている観光についてです。

山崎 ディエンビエン省。ディエンビエンフーの戦いが行われたところですね。

ソン そうです。ディエンビエンフーはディエンビエン省の省都です。

山崎 ディエンビエンフーの戦いでベトナム軍が勝利を収めて、フランスがベトナムから撤退する大きなきっかけとなったんですよね?

ソン はい。1954年のこの戦いで、およそ100年に渡ったフランスの植民地時代に終止符を打ちました。

山崎 じゃあ、ディエンビエン省には歴史的な遺跡がたくさんあるんですね。

ソン そうですね。歴史的な遺跡もありますが、多くの少数民族の文化にふれられることでも知られていますよ。

山崎 いろいろな観光要素に恵まれているんですね。

ソン はい。ここ数年、ディエンビエン省は観光分野の発展に力を入れています。

ディエンビエン省の観光促進 - ảnh 1
ディエンビエンの風景(写真:Le Hong Ha)


山崎 ディエンビエン省は、ベトナムの上の方にあるんですよね?

ソン そうです。北は中国の雲南省、西はラオス、東はベトナムのライチャウ省、南はソンラ省に接しています。中国とラオスの2つの国と接するベトナム唯一の地方です。

山崎 なるほど。先ほどソンさんが、少数民族の文化にふれられる、と言っていました。これも国境沿いの地方ということからでしょうか?

ソン はい。多くの少数民族の人たちが暮らしているんです。ディエンビエン省の人口は2013年の統計でおよそ53万人ですが、その9割近くが少数民族です。

山崎 多いですね。ベトナムで1番少数民族が多い地方ですか?

ソン 人口に対する割合でいうと、トップ5に入りますね。54の民族で構成されているベトナムで1番多いのがキン族で、総人口の9割を占めています。ディエンビエン省は、この逆なんです。キン族は1割しかいません。

山崎 へえ。割合が逆転しているんですね。ディエンビエン省に住む少数民族は、何族ですか?

ソン タイ族、モン族、ザオ族、ザイ族、テイ族、ハニ族、シラ族など20もの少数民族が住んでいます。

山崎 タイ族からテイ族ぐらいまでは聞いたことがありますが、それ以外は初めて聞く名前でした。それぞれの民族が、独自の文化をもっているんですよね?

ソン そうです。民族衣装も違いますし、習慣も異なります。例えば、タイ族は黒タイと白タイの2つのグループに分けられるんですが、民族衣装で区別されます。黒タイ族は黒いシャツ、白タイ族は白いシャツです。また、黒タイ族のシャツのエリは立襟ですが、白タイのものは襟ぐりの深いVネックと違いがあります。 

山崎 面白いですね。民族衣装で、何族かわかるんですよね。前にハノイ便りで、赤ザオ族の話題があったんですが、ザオ族でも赤い民族衣装を着ているから「赤ザオ族」なんですよね。

ソン そうなんです。そういった少数民族の人たちの生活を間近で見られるのが、ディエンビン省なんです。

山崎 今日のハノイ便りは、ディエンビエン省が取り組む観光促進についてお伝えしています。ここで、一曲お送りしましょう。「~」です。

(曲)

「~」をお送りしました。

ソン 歴史的にも文化的にも観光資源が豊富なディエンビエン省は、ここ数年、ホームステイでの観光を活発化させています。ディエンビエン省にあるメン村は、ホームステイスポットとして知られています。

ディエンビエン省の観光促進 - ảnh 2
メン村の村人の踊り(写真:Trong Phu)


山崎 メン村はタイ族の村ということで、タイ族の手工芸品や踊りなどが観光の目玉となっているようです。観光客にも人気となっています。伝統的な祭りも再現されて、訪れる人たちを引きつけています。

ソン 特に、ディエンビエンフーの戦いの勝利記念日や祭りの時期には、多くの観光客が村を訪れます。ここでの食事代は一食で平均10万ベトナムドン、日本円にすればおよそ500円で、宿泊代は一泊でわずか250円程度です。

山崎 その宿泊代は、他のベトナムの地方と比べても安いですね。そういった観光収益は村の人たちにとっては大変大きな収入となっているそうです。地元の人たちの生活の質も向上しているということです。地元住民の話です。

(テープ)

「村として観光に取り組まなかった時は、道路も家も今のように整備できませんでした。観光の村として登録してから、お客さんがたくさん来てくれて、住民の生活も良くなっています。もっとお客さんが来て喜んでもらえるよう、タイ族独特の歌や踊りを披露したり、タイ族ならではの食べ物を用意したりしています。そして、必ずタイ族の民族衣装を着るようにしています。」

山崎 メン村と同様、ディエンビエン市フィエンロイ村の生活も、改善されたということです。この村はホームステイでの観光を始めて、10年がたちました。村の人の話です。

(テープ)

「観光村となってから、お客さんが来て、私たちの生活がかなりよくなりました。お客さんが来ると、一緒に料理を作ったり、特別なおもてなしをしたりします。観光での収入の一部は、学業に励む成績がいい子供に与える奨学金として使われています。」

山崎 ディエンビエン省の文化スポーツ観光局のドアン・ヴァン・チ局長によりますと、現在、ホームステイの形で観光サービスを提供している村、いわゆる観光村は8ヶ所あるということですが、これから、タイ族のほか、モン族やコム族の村10ヶ所を選んで観光村として観光業を促進していく計画だそうです。

ソン 昨年、1か所の観光村に、年平均で4千人の観光客が訪れています。そのうち、2割が外国人観光客です。

山崎 観光村10カ所が新たに整備されれば、ディエンビエン省の観光促進の大きな原動力になるということです。チ局長の話です。

(テープ)

「観光を多様化するため、タイ族の観光村だけでなく、モン族やコム族の観光村も作ります。これに大きな関心と期待を寄せています。観光村が計画通りに整えば、多くの人がディエンビエンを訪れてくれると期待しています。」

山崎 ホームステイを提供している観光村では、地元住民の生活の質が改善されて、それが少数民族の独特の文化や伝統の保存につながると言われています。

では、おしまいに一曲お聴き頂きましょう。「~」です。

(曲)

「~」をお送りしました。

今日のハノイ便りは、ベトナム北西部にあるディエンビエン省で行われているホームステイでの観光促進についてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。


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