フート省のスアン民謡の保存活動

ハノイ便りの時間がやってまいりました

ホアイ ご機嫌いかがですか皆さん。ホアイです。

アン こんにちは。アンです

ホアイ アンさん。先週のこの時間にベトナムの伝統的歌唱であるカーチューの保存活動についてご紹介しましたが、今日はベトナム北部丘陵地帯にあるフート省のスアン民謡の保存活動についてご紹介しましょうか?

アン はい。いいタイミングですね。

ホアイ ベトナムでは旧暦の3月になると、誰もがベトナムの建国の祖フン(雄)王を偲ぶ祭りについて思い出します。フン王を偲ぶ祭りは毎年旧暦の3月10日に行われていますが、今年は4月19日にあたりますね。

アン そうですね。この祭りはベトナム北部丘陵地帯にあるフート省で行われますが、スアン民謡の発祥地もフート省です。フン王を偲ぶ祭りではスアン民謡の演奏が欠かせない部分の一つとなっていますね。

ホアイ そうですね。では、始めに、民謡とはどんなものかお聴きいただきましょう。

音楽

アン お聴きいただいたのは民謡のメロディーでした。

この民謡は2011年の末ユネスコにより、緊急に保護する必要があるとして無形文化遺産に指定されましたね。

ホアイ そうですね。昔から、民謡はフート省の住民にとって、精神文化の潤いになっていました。旧暦の3月になると、フート省の省都ベトチー( Viet Tri) 市フォンラウ( Phuong Lau) 村アンタイ( An Thai) 地区は民謡の歌声が響き渡っています。お年寄りだけでなく、子供たちも一生懸命、を練習します。

フート省のスアン民謡の保存活動 - ảnh 1

 

アン アンタイ地区のクラブの担当者グェン・ティ・リック ( Nguyen Thi Lich) さんの家からはいつもの歌声が聴こえています。リックさんは次のように語りました。

(テープ)

「民謡はフート省を始め、ベトナムの独特の芸術の一つで、世界的にによりその価値が認められました。この歌はフン王を偲ぶ祭りに深いかかわりがあります。はいつも春に歌われています」

アン 50年以上にわたり、民謡を歌っていたリックさんのような人々はこの民謡は精神的生活に欠かせない一部となっているようです。これは独特の芸能で、歌詞と音楽、舞踊、楽器など様々な要素が結合されています。民謡の美しさについて、リックさんは次のように語りました。

(テープ)

「民謡スァンはベトナム民族のよき伝統を示しています。口で歌うだけでなく、笑顔で手足で舞うところは他の芸能と違います。ベトナムの伝統的歌劇チェオの舞い方とも異なっています。」

アン また、民謡に対するアンタイ地区の住民らの愛着について、リックさんは次のように語りました。

(テープ)

「3歳になると子供でさえもが歌えます。誰でもを歌い、どんな団体や組織、家でもを歌います。今、省都のベットチーに足を運ぶと、どんな村や郡でもを歌う光景が目にできますよ」

アン リックさんの話でした。民謡は元々神様を祀る歌なので、信仰の厳しい規則を遵守しなければならないようですね。

ホアイ そうですね。その規則の中の一つとして村の集会所の前で公演し、練習も屋内で行われるということです。これらの規則は現在の生活における民謡の保存に支障を来たすことです。

アン ですから、これまで民謡の公演の場は歴史遺跡がよく使われてきましたが、現在、これらの中の多くはなくなりました。これは民謡の保存にピンチですね。

ホアイ ほんとですね。文化研究者によりますと、この前に、フートー省には民謡を歌う村が17ヶ所ありましたが、現在はたった4ヶ所しか残っていません。クラブに参加するメンバーは170人ですが、その内の18人は80歳を超えています。

アン 現在、フート省全体で、を教えることができる芸人はわずか29人だけです。

ホアイ そうですね。民謡を若者たちに伝えるため、リックさんは毎週土曜と日曜に、自宅で「教室」を開いています。10歳から15歳までの子供およそ10人が無料でこのコースに参加しています。

フート省のスアン民謡の保存活動 - ảnh 2

アン リックさんのような芸人の指導により、アンタイ地区の多くの子供たちがを歌えるようになりました。今年12歳のグェン・ティ・トイ・ズン( Nguyen Thi Thuy Dung) さんもその一人です。

(テープ)

「今、私と同じ歳の子供のほとんどは新しい音楽が好きで、民謡のような伝統音楽はあまり好きじゃないみたい。でも私はこの伝統音楽が無くならないようにの練習に励みたい」

アン ズンちゃんの話でした。フートー省の文化スポーツ観光局はベトナム音楽院と協力し、フートー省に住む高齢者の芸人(げいにん)と出会い、民謡の復活に取り組んでいます。

ホアイ 又、この数年、フートー省は民謡の保存、発展にも深い関心を寄せてきました。若者を対象に民謡を教えるコースが開かれるほか、民謡も学校の教育カリキュラムにも取り入れられましたね。

アン この数年行われたのど自慢大会や文化交流活動を通じて、民謡が国内外の人々に大きく紹介されてきました。特に、毎年旧暦の3月10日に行われるフン王を偲ぶ祭りではフート省の多くの村や町で民謡が歌われ、この祭りに独自の美しさを与えますね。

ホアイ そうですね。リックさんのような芸人の努力により、今後も、民謡が維持され、発展してゆくことが期待されていますね。

では。おしまいにもう一曲民謡をお送りして、お別れとしましょう。

アン リスナーのみなさん。今日のこの時間はスアン民謡の保存に対する取り組みについてご紹介しました。それでは、今日のハノイ便りの時間はここで終わります。来週のこの時間に又お会いしましょう。ごきげんよう。          

 Chao cac ban

 

 

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