中部ダクラク省のドラ演奏空間の維持、保存活動

(VOVWORLD) -2005年、ベトナム中部高原地帯タイグエン地方のドラ演奏空間がユネスコ=国連教育科学文化機関により、無形文化遺産として認定されました。それ以来、中部高原地帯タイグエン地方にあるダクラク省はドラ演奏空間の維持、保存に力を入れてきました。

ドラとは打楽器の一つで、吊り下げられた円盤みたいな形のものをバチで叩いて音を鳴らします。ベトナム中部高原地帯のタイグエン地方に住む少数民族の伝統的な楽器でした。

中部ダクラク省のドラ演奏空間の維持、保存活動 - ảnh 1ダクラク省は各集落にドラを提供

タイグエン地方には17の少数民族がいますが、バナ族、ソダン族、コホ族、エデ族、ザライ族など、この地方に住むほとんどの少数民族はドラ演奏の伝統的文化があります。ドラ演奏は昔から人々の生活に根差してきたものです。ドラの音は、人の心や思いだけでなく、人間の悲しみ、喜び、怒り、期待などを表したり、この地域の歴史を物語ったりしています。

タイグエン地方では、新しい命を迎える儀式や亡くなった人を神の世界へ送る儀式をはじめ、さまざまな冠婚葬祭にドラがよく使われています。ドラは人間と神との橋渡し役で、ドラを通じてその二者が感情や意思を交わすことができると信じられています。そのため、地元の人にとって、ドラは欠かせないものと言っても過言ではありません。

ダクラク省無形文化遺産が調べたところによりますと、現在、同省ではおよそ2100セットのドラがあります。一つのセットには18~20個のドラがあります。ドラが演奏できる演奏家はおよそ1千人にのぼっています。

現在、ダクラク省は少数民族出身の青少年、学生を対象に、ドラの演奏を教える130の教室を開設すると共に、ドラにかかわる数多くの祭りを復活しました。ダクラク省ブオンマートート市ホアカイン村ク・ブー集落のY Klêch Kđoh村長は次のように語りました。

(テープ)

「政府がわが集落にドラを寄贈してくれ、嬉しく思っています。今後、祭りや行事の際にドラを演奏できるようになります。これは私たちの共通の財産で、誰もが使えるようになって嬉しいです」

また、Y Klêch Kđoh村長によりますと、2019年に、同集落は民間の文化クラブを結成し、現在25人のメンバーがいます。結成以来、このクラブはドラ演奏を始め、多くの文芸公演に参加してきました。

特に、この集落は10人の女性からなるドラ演奏班を設立しました。ダクラク省で女性によるドラ演奏班がある集落は数少ないものです。先ほどのダクラク省ブオンマートート市ホアカイン村ク・ブー集落のY Klêch Kđoh村長はさらに次のように語りました。

(テープ)

「ドラの演奏、民謡や民舞などは昔から伝えられてきた伝統的文化ですから、維持、保存し、若い世代に伝える必要があります。今後、若い世代がこれらの伝統的文化を理解してもらうように全力を尽くします」

ク・ブー集落の住民は少数民族エデ族出身で、地元の行政府はこの集落の伝統文化の維持、保存に強い関心を寄せています。最近、ホアカイン村の行政府はブオンマートート市の文化スポーツ観光局と連携して、ドラ演奏を教える3つの教室を開設しました。ホアカイン村人民委員会のグエンタインホアン副委員長は次のように語りました。

(テープ)

「今後、村の祭りや行事などでドラ公演を引き続き行います。私たちは村の若者たちもドラの演奏ができ、エデ族の伝統文化をいつまでも維持、保存してくれることを望んでいます」

2016年以来、ダクラク省は各集落と寄宿学校にドラ36セットと各少数民族の多くの伝統衣装を提供しています。

ダクラク省はドラ文化の維持とその価値を発信するため、様々な活動を行っています。具体的にはドラ文化にかかわる伝統的な祭りの復活、エデ族やムノン族など各少数民族の伝統的なドラ演奏曲の研究や収集、復活、教育、ドラ文化教育を省内にある寄宿学校のカリキュラムに取り入れることなどです。

ダクラク省文化スポーツ観光局のグエン・トゥイ・フォン・ヒエウ副局長は次のように語りました。

(テープ)

「ダクラク省の2022年~2025年のドラ文化保存プログラムで、ダクラク省はドラ文化保存のため、伝統的な祭りの復活、ドラ演奏の案内、ドラ演奏班にドラや伝統衣装の提供、ドラ演奏大会、ドラ演奏フェスティバルなど様々な活動を行います」

ドラ文化の維持、保存に対するダクラク省の取組により、同省のドラ文化が今後も維持、保存されることが期待されています。

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