ハノイ便りの時間がやってまいりました。

ホアイ ご機嫌いかがですか皆さん。ホアイです。

アン こんにちは。アンです。ホアイさんは北西地方に行くことはありますか？

ホアイ ありますよ。ベトナムの北西部にはハノイの隣のホアビン省を始め、ソンラ、ディンビェン、ライチャウ、イエンバイなどの省があり、地形は主に山岳地帯ですね。

アン そうですね。地形が険しいせいか、この地域の生活水準は平野部と比べると、まだ低いですが、美しい自然風景が見られますね。

ホアイ そうですね。この地の自然風景について言うならば、自然に恵まれている他、地元の人々の手で作り上げたものもあります。今日のこの時間は北西部の棚田についてご紹介しましょうか？

アン はい。いいですね。私もこの地方の棚田が大好きでよ。北西部に一度でも足を運んだことがある人ならば、この地の棚田の美しさを忘れることはできないでしょうね。

ホアイ そうですね。北西部の住民の大多数は少数民族ですから、今も昔ながらの暮らしを営んでいます。昔から、この地方に住んでいる人々は耕作地が少ないため、長い年月をかけて何百段もある見事な棚田を作り上げてきましたね。

アン そうですね。これらの棚田を「大地の彫刻」と言っても過言ではないでしょう。

山の上から麓まで連綿とつづく棚田の風景は見る物を圧倒するスケールで、大きいもので5000段、広いところで数万枚にも及ぶ絶景を見せてくれます。

ホアイ 棚田の風景は春夏秋冬で移り変わります。春は色鮮やかな民族衣装の女性が田植えをし、夏には稲が青々と実り、秋には一面黄金色の収穫期を迎え、冬には満面と湛えられた水が、太陽の光を受けてきらきら輝きを放ちますね。

アン そうですね。この11月から4月にかけて、光を反射する朝夕が特に美しく、棚田はベストシーズンを迎えます。“天までにつづく梯子(はしご)”この造形美を作り上げたのはここに住む少数民族の他いないでしょうね。

ホアイ そうですね。少数民族モン族の女性はあまりお喋りをしませんが、いつも微笑があり、一日中、仕事をしています。彼女たちは朝早くから夜遅くまで、家事の他、畑に行ったり、薪を拾い集めるため森に入ったりしますね。

アン モン族の男性は小柄ですが、元気で、棚田に水を入れる季節になると、妻とともに、棚田の手入れします。

ホアイ La Pan Tan 村に住む Ly Bua Luさんはまもなく80歳になりますが、元気なうちは、毎日、子どもや孫と一緒に棚田に行き、仕事をしています。Ly Bua Luさんは次のように語りました。

（テープ）

「モン族の人々は家に居る時間より棚田や畑で働く時間の方が多いです。誰もが働きます。夫は畑を耕(たがや)し、妻は田植えをし、子供は草を取ったり、水牛に草をやったりします。昼になって、お腹が空いたら、田畑で昼食をします。昼食後はすぐに農作業を続け、日没まで働きます」

ホアイ このように語ったLy Bua Luさんは「山間部には土地が多いですが、棚田を作るため、水源の近い土地はすごく稀です。小さい棚田を作っても、水路を見つけるため長い時間がかかります。その後、その水をどのようにすれば、棚田まで引いてこれるかということに工夫を凝らさなければなりませんね。

アン 本当に大変ですね。では、このへんで、ティータイムにしましょうか。

では、 「北西部の恋の歌」（Tinh ca Tay Bac） をどうぞ。

ホアイ では、話を続けましょう。北西部イェンバイ省の水利会社の技術者ダン・スアン・トイさんは棚田の愛好者の一人です。トイさんはイェンバイ省ムーカンチャイ県に住むモン族の棚田の作り方を理解してから、彼らの創意工夫を心から感服すると明らかにし、次のように語りました。

（テープ）

「水源は棚田から遠い所にあります。水を棚田まで導くことは本当に大変です。水源と棚田との高さの格差が多すぎることや地理的条件が複雑だからです。でも、地元の人々は粗雑な農具で、これらの困難を乗り越えているんです」

ホアイ 棚田の美しさは傾斜を土で固めた「土坡（どは）により作られます。遠くから見ると低いように見えますが、近く寄って見ると、高さ数メートルの畔があります。アン この土坡は丈夫ではなければ、棚田が容易に壊れるだけでなく、他の世帯の棚田も壊すことになりますね。

ホアイ そうですね。そういうわけで、昔から、モン族の人々はこの畔をきちんと作ってきました。ムーカンチャイ県のGiang A Duさんは次のように語りました。

（テープ）

「父はいつも畔はちゃんと作りなさいと言いました。畔が丈夫でなければ、隣の棚田も壊してしまうからです。畔を守るため、水を引く時も、ていねいにゆっくりやらなければなりません。」

ホアイ Giang A Duさんの話でした。平地が少ない山間地に住む各少数民族の人々は稲作ため棚田を作りましたが、それは北西部の美しさを作りだしたとは創造しなかったでしょうね。

アン そうですね。では。おしまいに、「北西部への道」 という歌をお聞き頂きながら、今日のハノイ便りを終わりにしましょう。

ホアイ 「北西部への道」 「Duong len Tay Bac」でした。リスナーのみなさん。今日のこの時間は北西部の棚田についてご紹介しました。それでは、今日のハノイ便りの時間はこれで終わります。来週のこの時間にまた、お会いしましょう。ごきげんよう。

Chao cac ban