(VOVWORLD) - スーパー台風「ヤギ」の影響による豪雨と洪水が北部各省の人々の生活を脅かし、人命と財産に深刻な被害をもたらしています。この自然災害に直面し、ベトナム人の相互扶助の精神がより一層強まっています。民族愛、同胞愛、協力、団結の物語があちこちで見られます。
北部の被災地で倒木の処理に当たるダナン市の緑化部門の作業員 |
9月15日午後5時30分の時点で、台風ヤギとその影響により、死者292人、行方不明者38人の計330人の犠牲者が出ていることが分かりました。計画投資省の推計によりますと、台風ヤギは北部地域に約4兆ドン(およそ235億円)の被害をもたらし、今年のGDP成長率を当初の予測から0.15%押し下げる見通しです。
この未曾有の災害からの復興に向け、政府や地方による迅速な対応のほか、全国民もいろいろな形で手助けをしています。
深夜になっても、中部ダナン市中心部の多くの住宅地では明かりがついたままです。そこでは、若者から70歳を超える高齢者まで、皆が忙しく働いています。ある人は材料を準備し、別の人は、ベトナム風のチマキ「バインテト」やバインチュンを包み、また別の人は鍋を見守っています。翌朝早くに出発する北部の台風被災地向けの支援物資に間に合わせるためです。労力を提供する人、もち米や緑豆、豚肉を寄付する人など、それぞれが協力しています。一つ一つのチマキには、困難な時期にある同胞への愛が込められています。グーハインソン区ホアハイ地区のグエン・タイン・ロンさんは、ベトナム人として、同じ先祖の血を引く者として、北部の同胞が台風に直面している状況を誰もが心配し、困難を分かち合いたいと思っていると述べ、次のように語りました。
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「昨日は1000個のチマキを作り、今日さらに1000個を作って北部の人々を支援するために送ります。みんなで協力し、材料を買うためにお金を出し合いました。この活動には、グーハインソン区ホアハイ地区の村や居住地、住民グループの皆さんが参加しています。私たちは休むことなく、一晩中バインチュンを作り続けています」
バインチュンやバインテト、救援物資を運ぶトラックとともに、中部地方のボランティアチームが北部各省での救助活動や台風後の清掃作業に参加するために出発しました。中部地方から北部への物資輸送車両が次々と出発し、生活必需品や食料を運び、北部の人々が早期に生活を立て直せるよう支援しています。
北部の被災地のために救援物資を準備しているホーチミン市民 |
また、この時期、中部高原テイグエン地方の各省にある北部洪水被災者支援の受付所には、物資や生活必需品を寄付する何百人もの人々が訪れています。皆はだれもが、微力ながらも、北部の同胞の困難を分かち合いたいという気持ちです。
(テープ)
「人々の団結を見て、とても感動しています。60km離れた場所から駆けつけた人もいて、みんなで北部を助けようとしています。朝からずっと休まず、物資を受け付けています」
「市内や各県からの全ての生活必需品が広場に集められています。そこからコントゥム省青年同盟常任委員会が運送会社と連携し、無料で北部の人々に物資を届け、この困難を乗り越える手助けをしています」
ホーチミン市では、9月9日の夜、台風「ヤギ」が北部各省を襲い甚大な被害をもたらしてからわずか1日後、多くのボランティアグループがタイグエン、イエンバイ、ラオカイ、トゥエンクアンなど北部の各省の同胞を支援するための物資準備に取りかかりました。何千もの救命胴衣、何トンもの乾燥食品、何千もの懐中電灯が大きな箱に梱包され、翌日の最も早い便でハノイに向けて発送するため、迅速にタンソンニャット空港に運ばれました。
新型コロナ禍において社会貢献をしたことで知られているホアン・トゥアン・アインさんは、被災地に送るためのモーターボート、救命胴衣、食料の調達に奔走しています。トゥアン・アインさんの話です。
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「北部の各省市の青年同盟と協力し、救助チームを編成します。深刻な洪水被害地域での救助活動はもちろん、食料供給や孤立住民の安全な場所への移動も行います」
ホーチミン市や南部の省市では、個人やボランティアグループが緊急支援に加え、被災地の家屋再建に向けた資材提供や技術支援の計画も進めています。
台風の影響を受けた北部ランソン市でも浸水被害が発生しましたが、水が引くと同時に、住民たちは被害がより深刻な地域への支援を開始しました。
(テープ)
「ランソン市はもちろん、ベトナム全土の人々が力を合わせて台風被害を乗り越えようとしています。一人一人の力は小さくても、協力すれば大きな成果を上げられるはずです」
「台風とそれに伴う洪水に襲われた各県にそれぞれ100箱の飲料水を寄付し、さらに寄付を呼びかけています。タットケーをはじめ、ヴァンクアン、ビンザー、バクソン、ヒュールンなどにも支援物資を届けています」
国内だけでなく、国外在留ベトナム人コミュニティーからも支援の手が差し伸べられています。多くの国々で募金活動が行われ、故郷の同胞への支援を呼びかけています。
この困難な時期、台風や洪水の中で、ベトナム人の「互いに助け合う」精神と「困っている人を助ける」精神が強く表れています。同胞愛や国民の団結が感動的な形で示されており、これらの高潔な行為は「民族愛、同胞愛」の表れとして広がりを見せています。
こうした全国規模の支援活動により、北部地域の被災者たちが早期に困難を乗り越えられることが期待されています。ベトナム全土に広がる支援の輪は、国民の団結力と互いを思いやる心の証となっています。