(VOVWORLD) -東北部クアンニン省テインイエン県ドンルイ村の湿地林はベトナム北部最古の美しい湿地林とされています。
昔から、ドンルイ湿地林は多くの漁民に安定した収入をもたらしてきましたが、大規模な破壊が進んだ時期もありました。そのため、現在、地元の人々は湿地林の維持、保存に力を入れています。
ドンルイ湿地林 |
ドンルイ村に住むホアンテイリエンさん(54歳)の話によりますと、今から20年前は、湿地林は水産物が豊富で、地元の人々はただ魚を捕るだけで、湿地林を保護する意識は全くなかったそうです。しかし、湿地林が徐々に縮小していくにつれ、地元の人々の生計も成り立たなくなっていきました。リエンさんの話です。
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「エビの養殖によって湿地林が消滅の危機にありました。しかし、その後、オランダ政府の支援により、40ヘクタールの湿地林の復活に成功しました。地元行政府は村人に植林への参加を呼びかけ、村人も今では自ら志願して植林に参加しています」
湿地林の水産資源が枯渇して生活が困難になったことで、人々は湿地林の維持、保存への意識を持つようになりました。これにより、今日、ドンルイ村の湿地林が復活しています。ドンルイ村の人々の話をお聞きください。
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(女性):貝の採取のために、湿地林の木が少ない所に苗を植えました。貝を採るためには木を植えなければなりません。湿地林があると貝が育つからです」
(男性):植林すれば、台風の被害を少なくすることができるだけでなく、自然環境にもいいです。木が成長すると貝も育ちます。私たちは村人に環境保護活動に参加するよう呼びかけています」
ドンルイ村の湿地林の総面積は3千ヘクタールで、同村の総面積のおよそ半分を占めています。ここには湿地帯特有の生物多様性がありのまま保たれています。科学者の研究結果によりますと、この湿地林の特徴はベトナムの他の湿地林とまったく違っているということです。
この湿地林には多くの生物が生息しており、その中の多くは経済価値が高いということです。また、樹齢100年にのぼる木もあります。ドンルイ村の住民のおよそ80%は湿地林に頼って生計を立てています。ドンルイ村人民委員会のロック・バン・シン委員長は次のように語りました。
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「ドンルイ村の行政府は各集落に対し、居住地の規定を作成するよう指導しました。住民たちは自ら規定の内容を討議し、その中には湿地林の保護規制に関する事項も含まれます。また、各集落では、湿地林の管理班も結成されました。これにより、ドンルイ村の湿地林がきちんと保護されるようになっています」
2022年の「環境のための行動月間」にあたり、先頃、資源環境省のチャン・ホン・ハー大臣はドンルイ村の住民と話し合い、「今後も、ドンルイ村の住民が湿地林の保護のため、ひきつづき取り組むよう」希望を表明し、次のように語りました。
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「今後、資源環境省は地元の人々に対し、湿地林を持続的に開発するとともに湿地林を利用した観光開発の方法を案内します」
科学者によりますと、ドンルイ村の湿地林は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」、いわゆる、ラムサール条約に記載されている基準を満たしています。ドンルイ村の湿地林がラムサール条約湿地に登録されれば、この湿地林の価値がはるかに高まるとともに、クアンニン省がこの湿地林の保護とその価値の発揮に有利な条件を提示することでしょう。