ハノイ便りの時間がやってまいりました。
ホアイ ご機嫌いかがですか皆さん。ホアイです。
フン こんにちは。フンです。絹絵は昔から中国、日本、ベトナムなどアジアのいくつかの国々で制作されましたが、ベトナムの画家は全く新しい技法を開拓し、「ベトナム近代絹絵」というジャンルの創出とされていましたね。
ホアイ そうですね。今日のこの時間はベトナムの絹絵についてお話しましょうか。
フン はい。現在、ハノイにあるベトナム歴史博物館で、15世紀におけるベトナムの文化人であるグェン・チャイの肖像を描いた絹絵が展示されています。そのほか、16、17世紀のいくつかの有名な人物を描いた絹絵もありますね。
ホアイ そうです。これはベトナム絹絵が昔から制作されてきたことを示していますが、当時の絹絵はほとんど肖像で、簡単な筆使いで描かれました。
フン そうです。ベトナム絹絵の最盛期は1930年代の頃でした。当時、フランス人が設立したインドシナ美術学校の1期生の卒業者は西洋の造形技法と東洋の平面的な画法を組み合わせる全く新しい技法を開始し、「ベトナム近代絹絵」というジャンルを創出しました。その中で、画家グエン・ファン・チャンは絹絵のパイオニアとして知られる画家ですね。
ホアイ そうですね。画家グエン・ファン・チャンの有名な絹絵は国内外で展示され、大きな反響を与えました。その絹絵は主にベトナム農村部の女性の美しさや農村部の風景をモチーフにしたものです。
フン 画家 グエン・ファン・チャンは絹地に水彩で描き、何度も生地表面を洗浄しながら描くという独特の手法を開始した人とされていますね。
ホアイ そうですね。絹絵に描かれた人々や風景は線ではなく、絹地に水彩で幾度も描かれたことにより、ロマンチックな美しさを持っています。ベトナムの有名な画家グェン・トゥさんは次のように語りました。
(テープ)
「1950年代、ベトナムの絹絵と漆絵の発展条件が整えられてきました。1957年に、ベトナムは東欧諸国で、絹絵を紹介し、観衆の注目を集めました。ベトナムの絹絵は独自の美しさがあるので、多くの外国人の関心を引くのです」
ホアイ グェン・トゥさんの話でした。では、この辺でティタームにして、歌をお聞きいただきましょうか?
フン 「 」という歌をどうぞ。
ホアイ では、話しを続けましょう。ベトナムの絹絵はベトナムの国土と人々の美しさを巧みに描いています。多くの絹絵をこの世に送り出した画家ドク・ホアンさんは次のように語りました。
(テープ)
「ベトナムの絹絵と他の絹絵との違い点は絹地に水彩で描かれ、何度も生地の表面を洗浄しながら描くというその独特の手法です。これにより、水彩は生地の表面ではなく、生地の中に染み込みました。そのほか、ベトナムの多くの画家は生地の表面を洗浄する技術を習得するほか、西洋諸国の画家から解剖学を学びました。特に、ベトナム絹絵のモチーフは日常生活と一般の人々ですから、中国の絹絵のものとまったく違っています」
ホアイ 画家ドク・ホアンさんの話でした。日本政府はこれまでに、ベトナムを代表する絹絵画家、グエン・ファン・チャンが制作した作品を日本の修復技術で救おうというプロジェクトを実施してきましたね。
フン そうですね。先ごろ、ベトナム美術博物館と会合を行った際、このプロジェクトの責任者である中村勤さんは日本は今後もグエン・ファン・チャンさんの絹絵の修復を引き続き援助することを明らかにしました。
ホアイ また、双方は2013年に、修復された絵画の展示会を開くとともに、ベトナム美術博物館に保管されている画家グエン・ファン・チャンの全ての作品を長期的に保管するための環境を整える予定ですね。
フン そうですね。ベトナムの高温多湿の環境ではグエン・ファン・チャンの絹絵は急速に劣化が進んでしまいましたね。
ホアイ そのため、ベトナムは「ゴッホの「ひまわり」やモネ「睡蓮」などの修復を手がけてきた岩井希久子さんに「絹絵」の修復を数年前から依頼しました。
フン 昨年末、金沢市にある金沢21世紀美術館のデザインギャラリーでグエン・ファン・チャンの絵画修復プロジェクト展が開催されました。同展では、グエン・ファン・チャンが家族の元に遺(のこ)した貴重な作品3点が修復された状態で展示されました。
ホアイ これらは農作業を終え牛の背に乗って夕日に染まる川を渡る女性の姿を描いた「牛に乗って川を渡る女」、木造船造りの最終段階である薫煙作業の場面を描いた「船を燻(いぶ)す女」、「薪(まき)を取りに行く」が並び、伝統的な労働の姿が絹絵の柔らかい色調で描かれていますね。
フン そうですね。この展示会で、修復された絵画を展示するだけでなく、そのプロセスもドキュメンタリーとして映像で紹介し、ベトナムを愛する日本の民間人の力で成し遂げられた偉業を伝えましたね。
ホアイ そうですね。では。おしまいに、歌をお聞き頂きながら、今日のハノイ便りを終わりにしましょう。
ホアイ リスナーのみなさん。いかがでしょうか。今日のこの時間はベトナムの絹絵についてご紹介しました。それでは、今日のハノイ便りの時間はこれで終わります。来週のこの時間にまた、お会いしましょう。ごきげんよう。
Chao cac ban