美しい伝統的なアオザイの保存に熱心な人

(VOVWORLD) - 現在、現代生活に見合うようアオザイを現代風にアレンジする傾向が見られる一方、昔から伝わる伝統的なアオザイをそのまま保存し、重要な慶事で着用する動きもみられています。

外国人の誰もがベトナムで、一度は民族衣装「アオザイ」を目にし、その可憐で清楚な姿に、思わず足を止めてしまったことでしょう。現在目にするほとんどのアオザイはベトナム女性の美しさのシンボルとも言われ、昔から伝わる伝統的なアオザイを簡略化して再設計されたもので、日常生活でも気軽に着用されています。現在、現代生活に見合うようアオザイを現代風にアレンジする傾向が見られる一方、昔から伝わる伝統的なアオザイをそのまま保存し、重要な慶事で着用する動きもみられています。

美しい伝統的なアオザイの保存に熱心な人 - ảnh 1伝統的な衣服を楽しんでいる若者

アオザイは「アオ」が服で、「ザイ」は長いという意味ですから、直訳すると「長い服」ということになります。アオザイは丈の長い上衣とパンタロンがセットになった伝統的な民族衣装です。研究者によりますと、この伝統的な服装は今から約4000年も前に現れ、幾多の変遷を経てきとしています。紀元前4世紀ごろから紀元1世紀ごろまでベトナム北部のホン川デルタを中心に発展した青銅器時代のドンソン(Dong Son)文化の頃、古代ベトナム人は2枚の前垂れのついたアオザイを着ていたようです。これは、ドンソン文化の代表的な祭祀遺物である銅製の太鼓の図柄に描かれています。

アオザイはベトナムとともに進化し、豪華なものから実用的なものへ、質素なものからハイファッションへ、そして流行は繰り返されていきます。現在のアオザイの物語は、ベトナムが2つの領土に分割された1744年に始まりました。現在の中南部と南部を占める領土の国王グエン・フック・コアトは国民を見分けるために国民にフロントボタンのガウンとズボンを着用するよう求めました。5つのパートから構成されたことから「5パートのドレス」(ao ngu than)と呼ばれ、このドレスは、現代のアオザイにインスピレーションを与えました。また、王族と官僚は宮廷における階級を表す、緻密なデザインと鮮やかな色の最高級のシルクを使った「ニャットビン」という宮廷用のドレスを作りました。 

現在のアオザイの細身でスリットの深いデザインは、19世紀の終わりから20世紀の半ばまでのフランス植民地時代に改良されました。特に、近年はさまざまなデザインや素材による「革新的なアオザイ」が注目を集めるようになりました。

美しい伝統的なアオザイの保存に熱心な人 - ảnh 2チャン・タイン・トンさん

その一方で、昔と変わらない伝統的なアオザイを重要なイベントで着用する動きもしばしば見られます。そのニーズに対応するため、アオザイを始め、伝統衣装の復元に尽力している人もいます。その一人が南部カントー市ニンキエウ区アンク地区に暮らすテーラー チャン・タイン・トンさんです。52歳のトンさんがこの仕事を始めたのは18歳のことで、30年間ずっと洋服のテーラーとして活躍していました。しかし、2018年、「5パートのドレス(ao ngu than)」を始め、伝統衣装の復元と仕立てに転向することにしました。

トンさんによりますと、他の民族と区別するため最初に目印となるのは衣服だとしています。ベトナム人の衣服は、数千年の歴史があって、その特徴を誇っています。伝統文化に興味を持つ私は微力ながら、伝統衣装の復元と開発に貢献したいとしています。

テーラーとして30年の経験を持ってはいましたが、伝統衣装の仕立てを始めたときはいろいろな創意工夫をしなければなりませんでした。「5パートのドレス(ao ngu than)」と宮廷用のドレス「ニャットビン」を始め、伝統衣装の仕立てはすべて手製で、小さなボタンにさえも心を込める必要があります。トンさんの話しです。

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「どんな衣装も、襟が衣装の「顔」と見なされています。人の目を引くキレイな襟を作るため、100%心を込めなければなりません。そして、ボタンは小さいですが、衣装のアクセントの一つだと思います。ボタンをちゃんとつければ衣装がきれいに見えますよ」

美しい伝統的なアオザイの保存に熱心な人 - ảnh 3伝統的な衣服の細かい所をチェックしているトンさん

トンさんによりますと、宮廷衣装を始め、伝統的な衣装の復元と仕立ては困難だそうです。伝統衣装には布地や模様に関する多くの規定がある上、残念なことに、これらの規定が十分に残されていないとしています。そのため、トンさんは古い資料を読んだり、研究者の意見を求めたりしました。文化研究者グエン・ズイ・リンさんは次のように話しました。

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「トンさんが伝統衣装を仕立てるとき、その衣装の特徴がよく研究され、模様や縫い目をどうやって施すのかがよく考えられていることがわかりました。トンさんはこうして昔から伝わる衣装を生き返らせ、現代の人々にその衣装の美しさを伝えています。これにより、アオザイを始め、伝統衣装は現代生活においてもその立場を回復することでしょう」

研究を重ね、トンさんが心を込めて作った伝統衣装は多くの人々から好評を得ています。彼のお客さんの話です。

(テープ)

「友だちの紹介でトンさんのお店に注文しました。思った以上に仕上がりが美しっく伝統的なアオザイができました。今まで映画で見ていただけのアオザイでしたが、今は自分が着ています。とてもきれいで、満足しています」

文化研究者ニャム・フンさんは、トンさんの取り組みは伝統的な衣装の保存に貢献しており、これからも続けてほしいと述べ、次のように語りました。

(テープ)

「伝統衣装の復元に力を入れているテーラーは利益よりも保存を主な目的にしているでしょう。これは本当にありがたいことです。これからも、トンさんのようなテーラーが多く出現してきて、民族の伝統文化が保たれることを期待しています」

トンさんは、お正月や結婚式などで伝統的なアオザイを着た若者の姿を見る度に、大きな励ましになると語り、これからもアオザイを始め、伝統衣装の復元と仕立てに尽力していくとしています。

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