ベトナム児童文学を語るならば、トウホアイ、ボクァン、ファムホなどの著名な作家がいますがドァンゾイという作家を抜きに語ることはできないでしょう。 1925年南部ミート省に生まれたドァンズオイさんは児童向けの様々な小説を書いていますが、ベストセラーとなっている文学作品は「南方の大地とジャング ル」です。児童文学特有の文体のこの作品は長年にわたり、依然としてベトナム人読者の心をとらえてきました。
ドァンゾイ作家
1957年、作家ドァンゾイはベトナム和平に関するジュネーブ協定により、ベトナム南から北に足を伸ばして、一時にベトナムの声放送局で勤務していました。北には「キムドン」という有名な児童書出版社があります。
キムドンというものは抗仏闘争の時期に活躍した子供の名前です。当時のキムドン出版社のグェンフィトォン作家の依頼を受けたドァンゾイは南部の人々の生活ぶりを紹介する小説の執筆を決めました。3ヶ月の間、物語の構想に思いを重ねましたがイメージが沸きませんでした。ある日、ふと、故郷への思いが沸き、「南の大地と森」がわずか一ヶ月で生まれました。1
957年に公開されたこの小説は戦争中に両親と離ばれになり、一人で生活をした男の子の生活を描いたものです。彼の名前はアン。ベトナム南部にはクーロンというメコン川の支流とジャングルが多いです。アン君は浮かんだり沈んだりする生活の嵐を乗り越えながら、現地の多くの住民からの助けてもらいながら、ジャングルの中で成長します。敏感な心と詳細な観察、そして、魅力的な語り口調を生かしたドァンゾイさんは、ベトナム南部の文化色彩に溢れる自然の風景を描きあげました。
「南の大地と森」はベトナムの近代的な児童文学の中で最も素晴らしい小説と評されており、ロシア語、ポーランド語、ドイツ語、スペイン語版に翻訳されました。ドァンゾイ作家の愛読者のチンさんは次のように語りました。
(テープ)
「ドァンゾイさんは児童文学の発展事業に一生涯を捧げました。彼の作品は児童向けですが大人にも人気があります。また彼は、脚本家、エッセイストとしても活躍しました。彼は小説「南の大地と森」をテレビドラマの脚本にして、高い評価を受けました」
南部の風景
1997年に「南の大地と森」というドラマが公開され、国内で大きな反響を呼びました。この映画はベトナム最南端カマウ省のジャングルの自然風景と南部の人々の水上生活を描いたものです。この映画を見た数多くの大学生や高校生、中学生は「南の大地と森」をテーマにした絵を描きました。ハノイにあるビンスクール中学校で文学を教えるレ・ティ・タイン・タム先生は次のように語りました。
(テープ)
「『南の大地と森』はベトナム南部の独自の文化色を描いた小説であるだけでなく故郷への愛を讃える文学作品でもあります。我々教師はこの小説の内容を説明するための授業時間の30%を使い、残りはビデオなどビジュアルを通じて、この小説内容を論じます。」
「南の大地と森」のほか、ドァンゾイは「武器を追求する」「カマウのジャングル」、「山の呼び声」など多くの小説を書きました。彼はベトナム南部の土や人々の魂」を把握する作家と言われています。彼の文学作品を通じて、読者は自然や動物、植物の美しさを実感できます。
作家ドァンゾイの娘であるレ・ティ・タイ・ハさんは次のように語りました。
(テープ)
「父は動物が大好きです。ホーチミン市の統一病院に入院した時、彼は毎日、ヒョウモントカゲモドキに餌をやっていました。彼は退院する時も、「ベッドわきの窓でヒョウモントカゲモドキに餌をやってね」と伝言しました。」
作家ドァンゾイさんは生涯を文筆生活に捧げました。1989年、彼は逝去しましたが彼の作品はベトナム人の子供一人一人の心の中で永遠に生き続けることでしょう。