ハノイ中心地にあるオペラハウスはあまたにあるハノイのフランス建築でも最大規模で見事な風格を示すだけでなく、ベトナムの多くの重要な歴史の証人でもあります。100年以上の歴史を持つこのオペラハウスはハノイの人々の誇りであり、国内外の観光客を引き付けるところとなっています。
オペラハウスはチャンティン通りのスタート地点にあり、ホァンキェム湖から百メートルほどしか離れていません。日本人の建築家はこれを東南アジアにおける最も美しい建築物と評価しています。オペラハウスは1901年着工、1911年完成し、パリのオペラ座を模してできました。パリのオペラ座そのものは、奇しくもハノイの植民地化が始った1874年に完成しました。このオペラハウスの敷地内の面積は2600平方メートルで、正面には広場があります。このオペラハウスは古代ギリシャの建築様式を取り入れて建造されました。中に入ると、ロビーの中央階段には深紅の絨毯が敷かれ、大理石の床とのコントラストが印象的です。座席数は、現在約870あります。2階には、部屋の四方に鏡をめぐらしたきらびやかな「鏡の間」があります。ここが最も華美に装飾された部屋で、賓客をもてなす際に使われます。
ハノイオペラハウスはハノイの代表的な建築物です。1997年にハノイで行われた第7回フランス語圏サミットにあわせて、このオペラハウスは改修、復元されました。この復元作業を指導してきたベトナム人の建築家の一人であるホアン・ダオ・キン( Hoang Dao Kinh) さんは次のように語りました。
(テープ)
「ベトナムにある建築物の中にはオペラハウスのように繊細で、亜鉛細工の見事な飾り付けがあるものはありません。そのため、復元作業は非常に難しいです。私たちはフランスの会社に注文しましたが、価格が高すぎるので、ベトナム人の職人の創造性に依頼しました。ベトナム人の職人の技能はとても優れていたので、彼らは安い価格で、その復元作業をしました。フランス人の専門家らは後にこの復元を見て、感服しました」
そのほか、オペラハウスの修復を担当した人々は北部山岳地帯にあるライチャウ省の大理石を使って、このオペラハウスのアーチの復元に成功しました。
ハノイのオペラハウスはハノイの有名な建築物であるだけでなく、国内外の芸術団の公演の場とハノイの観光スポットの一つでもあります。ハノイを観光中のグェン・コク・クオン( Nguyen Quoc Cuong) さんは次のように語りました。
(テープ)
「このオペラハウスはパリのオペラ座を模したもので、印象深いです。また、広場にあるこのオペラハウスは本当に見事な建物です」
1945年8月19日にこの広場で独立蜂起を呼び掛ける集会が行われ、その後、9月2日の独立へとつながりました。この広場に何千もの人々が集まり、ホーチミン主席は2階のバルコニーから演説したと言われています。そのため、オペラハウス前の広場は「8月革命広場」となりました。ベトナム人にとって、このオペラハウスは歴史的からみても、多くの重要な意義を持っています。