ここ数年、ハノイの経済は急速に発展し、数多くの高層ビルが建てられ、町は日を追って変貌しています。このような近代的なハノイの町並みの中に100年前、フランス植民地時代に建設されたフランス風建築物も健在で、ハノイに魅惑的な美しさをもたらしています。
旧フランス領インドシナ総督府
フランス植民地主義時代に、フランス人は「ハノイ市整備・拡張計画」を立案しました。ですから、ハノイ市内のフランス風の建築物はいずれも、周囲の景観と気候などと調和しています。
ハノイにあるフランス風建築物としてまず始めに挙げられるのは紅河にかかるロンビェン橋です。1902年の開通当時、インドシナの総督のポール・ドゥメルの名にちなんで、この橋はドゥメル橋と呼ばれていました。橋はフランスの(Dayde & Pille社(ダイデ&ピル)によって建てられ、その名を刻んだプレートが今なお橋に残っています。この橋は現在ハノイの文化的シンボルの一つとされています。
一方、ハノイ市内には現在、フランス風建築物が数多く残っています。例えば、現在の国家主席官邸は旧フランス領インドシナ総督府であり、迎賓館は北部ベトナム地方長官官邸、ベトナム国家銀行はインドシナ銀行、歴史博物館は旧フランス国立極東学院付属博物館でした。
フランスの建築を愛好するハノイ人の建築家ホアン・ダオ・キン( Hoang Dao Kinh) さんは「フランスはベトナムに格別な存在を作り出した。特に、フランス人はベトナムで駅の建物、郵便局の建物、教会、オペラ座、博物館、ホテルなどそれまでベトナムにはなかった建築物を建設した」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「フランス人はハノイを近代化させました。現在、ハノイには19世紀後半から20世紀初頭までのフランスの建築様式が見られます。これらの建築物は熱帯建築様式があるもののベトナムの歴史、文化伝統に合致しています」
注目すべきことはフランス人は熱帯気候であるベトナムの暑さを避けるため、熱帯気候に見合う建築様式を取り入れたということです。例えば、どんな公邸や別荘も広い廊下や花園で囲まれています。また、幾つかの建築物にフランス人の設計者はベトナムの伝統的村の集会所の建築様式を取り入れました。
ベトナム国立歴史博物館
ハノイには現在、並木のそばに並んでいる別荘が残されています。これらの別荘の建築様式にはフランスのそのままの建築様式があるものもあれば、東洋の建築様式を取り入れたものもあります。統計によりますと、現在、ハノイにはフランス植民地時代に建設された別荘がおよそ1600軒が残っています。しかし、時の経過と共に、多くの別荘は古くなりなりました。そのため、最近、ハノイ市はこれらの別荘の改修を行ってきました。ハノイ市チャンコクトァン通りにある別荘の所有者グェン・ティ・ホア( Nguyen Thi Hoa) さんは次のように語りました。
(テープ)
「これらの別荘を改修する必要があると思います。政府がその改修を支援してくれれば幸いです。また、別荘の所有者と政府が協力して改修をしてもいいです」
ハノイには文廟、一柱寺、ハノイ旧市街にある家屋などベトナムの伝統的建築様式を持つ建築物と共にフランス風の建築様式を持つ別荘はハノイの建築様式に独特な魅惑をもたらしています。経済が急速に発展しているハノイはこれらの建築遺産を保存することは非常に重要な意義を持つことでしょう。