ベトナムでは、一般的な観光ツアーやエコツアーとともに、戦場の跡、戦跡をめぐるツアーの参加者が多くなっています。このツアーでは、その跡地を訪れ、ベトナムの独立のため、身をささげた人々をしのぶこともできます。
2005年から、中部のクアンチ省の人民委員会は、国防省や観光局などと協力して、戦跡をめぐるツアーを企画してきました。ツアーの開発基金のファン・カク・ハイ( Phan Khac Hai) 副常任理事長によりますと、北部の山岳地帯にあるディエンビエン省から南部のメコンデルタまで、ベトナム全国各地が、ツアーの目的地となっています。国内外の観光客の需要に応えるとともに、「経済的に余裕がないため、昔の戦場を訪れることができない復員兵、戦没者の遺族、傷病軍人などもこのツアーに参加できるよう支援する」としています。開発基金のファン・カク・ハイ副常任理事長は、次のように語りました。
(テープ)
「戦跡をめぐるツアーは、通常の観光ツアーとは違って、その参加者の心理面において重要な意義があります。ツアー開発基金は、それぞれの地方の独自性を活かしながら、この形態のツアーの開発に取り組んでいます」
中部のクアンチ省には、最も多くの戦場の跡があります。戦時中、激しい戦いが行われたこの地方には、現在、戦争にかかわる430の遺跡が残されています。南北の国境となっていたヒエンルオン橋、クアンチ城、ビンモック地下トンネルなどを見学できるほか、戦争で犠牲になった人々を偲ぶため、「チュオンソン山脈の神話」という祭りや「タクハン川に花を流す祭り」などに参加できます。旅行会社社長のチャン・ヒュ・フォン( Tran Huu Phuong)さんは、次のように話しています。
(テープ)
「クアンチ省に足を運ぶ観光客が、日増しに増えてきました。観光客には、復員兵もいれば、若者もいます。彼らは、昔の戦場を訪れるだけでなく、国の独立のため、命をささげた人々に思いをはせることもできます。ベトナム国内外の多くの復員兵は、クアンチ省を訪れています」
戦跡をめぐるツアーの開発基金は、今後、このような形態のツアーを、北西部や中部高原地帯のタイグエン地方、ホーチミン市、南部のメコンデルタ地域で計画しています。開発基金のファン・カク・ハイ( Phan Khac Hai) 副常任理事長はこのように話しています。
(テープ)
「私たちは各地方と連携して、全国各地で戦場をめぐるツアーを企画しています。また、旅行会社ともタッグを組んで、このツアーをピーアールしています」
こういった取り組みで、ベトナム国内の人々はもちろん、外国人観光客も、ベトナムの歴史を深く理解することができるのではないかと期待されています。