ベトナム人の風習として、新年になると、健康と幸福を祈るためにお寺や神社をお参りします。首都ハノイにあるゲン(Ghenh)神社は参拝者がよく来る場所となっています。
ゲン神社
ゲン神社は首都ハノイからホン川に架かるチュオン・ズオン橋を渡って北へ100メートルほどのボ・デ(BoDe)区の小道の奥にあります。この「ゲン」という名前の由来は、昔、この神社の門の前に大きな断崖があったので「ゲン」神社と呼ばれたのです。ゲン神社にちなんだ物語は18世紀のレ・ヒェン・トン王のゴク・ハン王女の悲しい運命と繋がっています。これによりますと、1770年に生まれたゴク・ハン王女はゴクホイ・ドンダ(NgocHoi DongDa)勝利につながる外敵2万人を打ち破った功労があった英雄グェン・フェと結婚しました。その後、グェン・フェは当時のタイ・ソン(TaySon)朝の第2代皇帝として国を統治しました。二人には二人の子供を生みました。しかし、二人の愛が6年間続くと、1792年にこの優れた皇帝は急死しました。王女はとても悲しくて、その7年後に亡くなりました。享年29歳でした。その後、王女と、二人の子供の遺灰はホン川に流されました。現地の住民は王女を偲ぶ為に、ホン川沿いに神社を建てたのです。
ゴク・ハン王女
ゲン神社にある石碑は「1858年に現地住民の一人であるダン・ティ・バンさんは、神社の建設のために寄付金を募った。」ということを明記しています。この200年間、ダン・ティ・バンさんの子孫が神社の世話をしています。
ゲン神社の保護者であるダン・デンン・クェさんは次のように語っています。
(テープ)
「私はダンという家の5代目です。昔は、この川辺に船着場がありました。その辺にはガジュマルの木もありましたよ。以前、ゲン神社は川のすぐ傍に建てましたが、洪水のため、ここ奥のところに移転されました。」
現在でも、ゲン神社はハノイ市民にとって聖なる場所の一つとなっています。毎年、旧暦1月6日午後になると、多くの僧侶や仏教徒がここに集まって、平穏を祈ります。これは、年始になって初めての儀式です。
毎年、ゲン神社へお参りに行くというハノイ市民の一人グェン・ティ・ホンさんは次のように語っています。(テープ)
「ベトナム民族の伝統として、新年になると、お寺へお参りに行くということです。私は健康と順調な商売を祈るために、この神社へ来たのです。」
ゲン神社へお参りに行くのは高齢者だけではなく、青年男女も多く来ています。ドンダ区に住むジェム・ハンさんは次のように語っています。(テープ)
「お寺参りは良き伝統だと思います。というのは、聖なる場所へ足を運んで、何かを祈りたい時に、自分の行為や生活のあり方をさらに良い方向へ調整するようになるからです。」
聖なるお寺や神社へお参りに行く人は、仏様や祖先に対する思いやり心を表わしたいのです。そこで、初詣は、信仰の意義を持つだけでなく文化的なの美しさの表れでもあると言えるでしょう。