ユネスコによって世界無形文化遺産として認定されたベトナムの中部高原地帯タイグエン地方のゴング、これは音程のあるドラですが、その文化的空間の保存活動が積極的に行われています。
ゴングを中心とした生活を行ったこの地域のピーアール活動も盛んです。ゴングはその地域の信仰において中心的な役割を果たした道具ですが、現在は、ベトナム国内外の観光客にもその演奏が行われています。これはその地域住民の雇用の創出と、経済的にこの文化的空間の保存に
寄与しています。
2009年にラムドン省は、観光客に行うゴングの演奏グループを作りました。これについて、ラムドン省文化スポーツ観光局のグエン・ティ・グエン(Nguyen Thi Nguyen)副局長は次のように話しています。
(テープ)
「無形文化遺産として登録された地域で、観光客のためにゴングの演奏が毎日、行われています。これによって、訪れた人たちはそのゴング演奏の価値とこの地域独自の文化を十分に理解できます。現在までに、ゴング演奏のグループは11、作られました。ひとつのグループは4人から50人の演奏者からなっています。住民たちの雇用を創出する最適なものだと思います。」
観光客へのゴングの演奏は、雇用創出という意味で、住民たちの生活改善に貢献しましたが、ゴング文化の本来の意味はなくなっています。タイグエン地方の文化を研究するリンガ・ニエク・ダム(Linhnga.NieK Dam)さんは「行政の担当者は、タイグエン地方のゴングの文化的空間を含めた民間文化の保存に重要な責務を負っている」と強調し、次のように話しました。
(テープ)
「この演奏の本来の意味での保存は難しく思います。ゴングで、現代的な音楽を演奏するグループもあるそうです。観光客を誘致しながら、昔ながらの文化をありのまま保存するには、どうするか?行政の担当者は、演奏グループにゴングの文化的価値について詳しいレクチャーを行う必要があると思います。」
研究者たちによると、観光客へゴングを演奏するグループは、演奏だけで、その文化的空間を表現することはできません。ゴングを単なる楽器として使用するだけです。ベトナム文化芸術院のホアン・ソン(Hoang Son)副委員長は次のように話しました。
(テープ)
「ラムドン省のダラット市では、数千のグループが伝統的儀式でゴングを使用しています。観光客用の演奏グループは11だけですので、ここでのゴングの文化的空間はそのまま保存されていると思います。」
観光客のためのゴング演奏は、経済的にはこの文化的空間の保存に貢献していますが、一連の保存活動は、行政の文化担当者の管理のもとで行われる必要があるとも指摘されています。