ハノイ市の西方30キロにあるバクニン省のダイ・ドン・タン村(Dai Dong Thanh)には、ベトナム最古の王といわれるキン・ズオン・ブオン( Kinh Duong Vuong)を祀る神社があります。先頃、ベトナム文化スポーツ観光省とバクニン省は、このキン・ズオン・ブオン神社遺跡群の保存計画を公表しました。
テンドク川に面しているこの神社は、ホン川デルタ地域の文化的特徴を持つ建築スタイルになっています。遺跡群には キン・ズオン・ブオン廟もあります。いつごろ建てられたものかはわかっていませんが、正面にある石碑に 「キン・ズオン・ブオン廟が、1840年のグエン王朝時代に再建された」と漢字で書かれています。この廟は、2万平方メートルの敷地に建っています。民間文化研究家のゴ・コク・ティンさんは次のように話しています。
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「15世紀のレ王朝時代の歴史学者ゴ・シ・リエンが執筆した “大越史記全書”によりますと、キン・ズオン・ブオンは古代ベトナムを建国した功労者です。また、人々に農業を教えながら、道徳教育を行いました。」
キン・ズオン・ブオン神社では、王が作ったとされる対句や勅令などのような貴重な歴史資料がそのまま残されています。特に、紀元前の勅令が15もあります。この神社の宮司、ビエン・スアン・ファムさんの話を聞いてみましょう。
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「1811年、グエン朝のザーロン王は、この神社をベトナム最古といわれる王を祀るところと決めました。それ以降、ここの住民たちは、この神社の保存に尽力しています。」
毎年旧暦の1月になりますと、キン・ズオン・ブオン祭りが開催されています。この祭りは、王を偲ぶだけでなく、将棋や水上人形劇、獅子舞、民謡のクアンホなどを楽しむことも出来ます。
バクニン省には、キン・ズオン・ブオン神社をはじめ、ベトナム仏教の発祥地として知られているザウ寺、石造りの五重塔が残るブッタップ寺、版画で有名なドンホー村もあります。こういった歴史的価値のある観光資源のために、バクニン省は、キン・ズオン・ブオン神社遺跡群の保存プロジェクトとして5億ベトナムドンを投資しました。これについて、トゥアンタン県、人民委員会のレ・ディン・タン(Le Dinh Thanh)委員長は次のように話しました。
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「このプロジェクトは非常に大規模なもので、観光ツアーの発展につながると確信しています。バクニン省の有名な観光スポットを外国人にピーアールするとともに、地元の経済発展にも寄与するでしょう。」
バクニン省の人民委員会は、文化スポーツ観光省に、キン・ズオン・ブオン神社遺跡群を国の特別遺跡として認定するよう申請しました。地元住民のみならず、多くのベトナム人にとってこの遺跡は、古代ベトナムへの扉を開く特別なものであるようです。