ユネスコから2度も世界遺産として認定されたハロン湾
現在、ベトナムは、17の世界遺産がユネスコ教育科学文化機関から認定されています。その内訳は、自然遺産2件、文化遺産5つ、複合遺産1つ、そして無形文化遺産、記憶遺産となっています。
ベトナムの世界遺産は全国各地に点在しています。中部古都フェの遺跡群は1993年に有形文化遺産として認定されました。北部ハロン湾は自然の風景と地質・地形において、1994年と2000年の2度にわたり、ユネスコから世界遺産として認定されました。中部ホイアン旧市街は1999年に世界文化遺産に、チャンパ文化のミーソン遺跡群は1999年に世界文化遺産となりました。フォンニャ・ケーバン国立公園は2003年に世界自然遺産、ハノイ市内のタンロン城は2010年に世界文化遺産に、タインホア省の胡朝城塞は2011年に世界文化遺産に認定されました。また、北部ニンビン省のチャンアン名勝遺跡群は2014年に「文化」、「自然」の両面でユネスコ世界遺産の基準を満たし、ベトナム初の世界複合遺産として認定されました。
文化スポーツ観光省のダン・ティ・ビック・リエン次官は次のように語っています。
(テープ)
「専門家らは、世界的に有名な科学雑誌に掲載された記事の中で、ベトナムの文化遺跡の価値を述べてきました。チャンアン名勝遺跡群はユネスコ世界遺産委員会のメンバーから文化と自然の両面で価値を持つ世界唯一の名勝遺跡群であると評価しています。また、同委員会の諮問機関もこの遺跡群を東南アジア地域における最も美しい名勝地の一つとして高く評価しています。」
この他に、ベトナムには9つの無形文化遺産があります。フエの宮廷音楽雅楽は2003年にベトナム初の無形文化遺産として認定されました。北部バクニン省のクアンホー、南部の伝統的民謡ドン・カ・タイ・トウ(DonCaTaiTu)があります。国を守る神ゾンの恩をしのぶゾン祭り、フート省の民謡ハットソアンは2011年に緊急に保護する必要があるとして無形文化遺産のリストに登録されました。さらに2012年、ベトナム建国の祖フン王を祀る信仰が、2014年末には、中部の民謡「ビ」と「ザム」が無形文化遺産として認定されました。この民謡は、この地方の住民の生活に密着したものとなっています。グェン・チ・ベン博士は次のように語りました。
(テープ)
「民謡ビとザムは子守り唄から漁業で声をそろえて歌う大漁唄に至るまで、普及されています。特に、この民謡とゲアン省、ハーティン省方言との絆が離れないのは独特です。そのために、長期にわたり、共同体の中で存在続けたわけです。」
ベトナムには、3つの記憶遺産があります。グェン朝の行政文書が2009年に、ベトナム初の大学とされる文廟内にある(1442~1779年)高級官吏登用試験の科挙の合格者の名と出身地を刻んだ82の石碑が2010年に、南部ビンギエム寺の漢字木版経典は2012年に登録されています。
これらの世界遺産は大切に保存し、後世に伝えてゆく事がベトナムの遺産でかけがえのない財産です。