ベトナム北部のナムディン省ラク村には、ベトナムでよく知られている水上人形劇があります。12世紀にうまれたラク村の水上人形劇は、ホン川デルタ地域の稲作文化から発生した独自のものです。
ナムディン省観光振興センター長のホァン・コン・クゥオンさんは次のように話しました。
(テープ)
「ラク村は、ベトナム北部の水上人形劇の発祥地で、国の水上人形劇の発展に寄与してきました。この村の水上人形劇は、12世紀に始まり、これによって、村の文化は豊かになったのです。」
ラク村の水上人形劇祭りは、5年ごとの旧暦1月16日に行われます。この祭りで上演されるのは、水上人形劇の創始者をしのび、農民の生活を描くものです。ラク村では、600年間にわたって、主に20代の職人が人形を作り、公演を行ってきました。ラク村の熟練した人形職人であるファン・バン・ミエムさんは次のように話しました。
(テープ)
「水上人形劇が無くならないように、若い世代は我々のような高齢者から人形制作の手法を受け継がなければなりません。」
また、人形職人の7代目であるファン・バン・カイさんは次のように話しています。
(テープ)
「この村で生まれ育った我々の心には、この故郷の人形が染み込んでいます。子供の時から、祖父と父は私に人形作りを教えてくれました。私は人形も作り、それを操る演者としても水上人形劇に参加しています。」
北部のホン川デルタ地域には15の水上人形劇の団体があり、中でもラク村の水上人形劇は「魚を釣り、花を捧げる」という独特な演目を得意としています。
(人形劇の肉声)
ラク村では、沼の上にある舞台で水上人形劇を楽しめます。演目は「水牛に乗った笛吹き少年」「アヒル農法とキツネ狩り」「釣り」など様々です。人形を操る演者は、畑仕事を終えた後の農民たちです。
水上人形劇では、ベトナム農村部の風景や農民の質素な日常生活が、美しく表現されています。それは、これからも色あせることなく、いつの時代にも受け継がれていくことでしょう。