(VOXPOP)
(男性) 「以前から、生物農薬を使ってきました。化学農薬ではありません」
(男性) 「ハイテク農業はベトナムの必然的な傾向であり、先進国のトレンドでもあります」
(男性) 「考え方を変えると、人生を変えることができます。そして、アプローチ方法を変えることで、全プロセスを変えることができるようになると思います」
ミン リスナーの皆さん、長年にわたり、新市場の開発に力を入れてきた結果、2022年にベトナムの農産物はヨーロッパや日本、アメリカなど厳格な基準が設けられた市場に進出できるようになりました。
ハー ベトナムの農産物の輸出はベトナムの農家や、農業に携わる企業の工夫や努力によるものだと評価されています。
ミン 2022年の最後の番組では、農産物の輸出を促進するためのベトナムの取り組みについてお話しします。
ベトナム産ザボン=VOV |
数日前、南部ベンチェ省の農家ホ・バン・ロイさんは実家のザボン農園に、生物農薬を散布しました。ロイさんはザボン栽培のプロセスにおいて常に収穫と収穫後の保管を厳しく管理しています。
ロイさんの話です。
(テープ)
「輸出先国のガイダンスと基準を厳守しています。以前から、生物農薬を使ってきました。化学農薬ではありません」
一方、ベンチェ省ザボン生産協同組合の副組合長は次のように明らかにしています。
(テープ)
「輸出用農産物の生産規定を厳守しなければなりません。つまり、耕作日記を書く必要があります。また、農産物の処理や、農薬散布などに関する規定もあります」
ベンチェ省のザボンをアメリカ市場に輸出する式典=VOV |
ザボンを収穫する一か月前には、農家や関連企業は機械を使ってザボンの糖度を検査し、結果に基づいて肥料の使用量を調整します。
その厳格な措置により、ベトナムのザボンはアメリカに進出できるようになりました。
(VOXPOP)
(男性) 「ベンチェ省のザボン栽培農家にとって、アメリカに輸出できるのは大へんな喜びであり、農家の収入向上や生活改善に役立ちます」
(男性) 「輸出に耐えられる農産物の供給源を維持できるよう取り組んでいます。今後、ザボン再生産協同組合の建設を強化していきます。同時に、各企業との連携を促進していきます」
(男性) 「関連機関が産地コードや原産地証明などの面で、農家を支援していくよう望んでいます」
ミン ベンチェ省のザボンがアメリカに進出することは同省の農家や関連機関、企業の5年に及ぶ努力によるものです。
ハー また、ベンチェ省の果物輸出入企業「チャントゥ」社はアメリカ市場へのゲートウェイとしての役割を果たしています。同社は2019年にアメリカにマンゴーを、そして、2020年に日本にライチを輸出しました。
ミン 「チャントゥ」社は製品の質を確保するため、厳しい基準を設けています。
「チャントゥ」社の社員は、早朝からアメリカ向けのザボンの殺菌を始めます。昼には農園にザボンを買いに行き、夕方には買ったザボンを会社に運びます。深夜まで、輸出に向けて処理をします。
(現場の音)
農園や、包装施設は殺菌、消毒、衛生などに関し、アメリカの厳しい規定を順守する必要があります。「チャントゥ」社のゴ・トゥオン・ビ副社長は次のように話しています。
(テープ)
「すべての市場には厳しい規定があります。以前、中国市場の基準は緩やかだと思っていましたが、実はオーストラリアよりも厳しいです。ヨーロッパの基準とアメリカの基準には類似点もあれば、相違点もあります。現在、アメリカに輸出できるのはわが社しかありません。これは6年間の取り組みによる結果です」
「チャントゥ」社の指導部は市場開発・維持を主要な任務と見なしています。先ほどのビ副社長の話です。
(テープ)
「今後もアメリカ市場への輸出量を増やしていく予定です。これによりほかの市場への進出の機会が増えると思います。アメリカ市場の次に、より多くの市場へ進出することがわが社の目標です。この目標を目指し、農作物の供給源の開発に力を入れていく方針です」
ベトナムの農産物が厳格な基準の市場に進出することは、ベトナム産農産物のブランドの確立とその威信・知名度の向上に貢献しています。ビ副社長は次のように語っています。
(テープ)
「顧客に提供するすべての農産品に対して責任を負わなければなりません。これは自社の方針であり、発展戦略でもあります。ベトナム農産物の威信を世界各国に紹介したいのです」
企業のけん引や、農家の取り組みなどが複数の新しい価値を生み出し、グリーンコンシューマーを育て、消費者の健康維持などに役立っています。
ミン 2022年、ベトナムは中国市場にドリアンを、日本へ竜眼、アメリカへザボン、ニュージーランドへレモンとザボンを輸出するようになりました。これらの市場はいずれも農産物の輸入に対し厳しい基準が設けられています。
ハー そして、2022年9月2日、ロクチョイ社はフランスにコメを輸出し始めました。これはベトナム産のコメがヨーロッパの厳しい基準を満たしたことを示しています。
ロクチョイ社のフイン・バン・トン社長=toquoc.vn |
農地には足跡を残しません。というのは、農業用無人航空機が導入されているからです。また、数年前から、ロクチョイ社は栽培地管理にIT技術を導入し始めています。
同社のフイン・バン・トン社長は次のように話しています。
(テープ)
「ベトナム人は先進技術を迅速に導入しています。そして、応用力が高いですね。農業用無人航空機はその応用力から生み出されたものです」
有機肥料、生物農薬などバイオ製品の使用は栽培地の土壌や、製品の質の向上に寄与しています。また、農家と企業の連携も大きな利益をもたらしています。こうした中、ロクチョイ社は今後の発展戦略を定めました。
(テープ)
「原産地証明や産地コードの発給など近代的な管理方法により、コメの生産と輸出の持続性が高まっています。また、その知名度も向上しています。したがって、投資の効果も高くなっています」
2022年の農・林・水産物の輸出額は532億ドルを突破し、前年と比べ9.3%増加。その中で、農産物は225億5000万ドル、コメはおよそ35億ドル、青果は33億ドルを超えている。
ミン 農業生産への近代的な科学技術の導入の効果は明らかです。現在、ベトナムの5か所の農業団地と18か所の農業生産地区ではハイテク農業が行われています。
ハー ハイテクの導入は輸出に貢献するだけでなく、ベトナム農家の決意を示すものともみられています。これに関し、VOVの記者はAPEC実業家院の院長を務めるチャン・ズイ・カイン博士にインタビューしました。
チャン・ズイ・カイン博士=petrotimes.vn |
記者: カイン博士、VOVのインタビューに対応いただき、どうもありがとうございます。ベトナムの農業生産にハイテクを導入することに関し、博士の評価をお聞かせください。
(テープ)
「ベトナムにとって、ハイテク農業は新しいものですが、どのように用いられているのかは様々です。例えば、乳製品企業『ビナミルク』社の畜産モデルや、ラムドン省での花栽培モデルなどです。これらは典型的な例です。ベトナムではハイテク農業が迅速に普及しており、現在、農業、林業、水産物の養殖、農・林・水産物の加工などに導入されています。
記者: 具体的にはどのようにハイテクが使われているのですか。
(テープ)
「多くの企業は近代的な生産ラインを導入したいのです。農家も生産に対する考え方が変わっています。彼らはサプラインチェーンに参入し、収穫から農産物の加工と消費まで担当しています。これらのことからすれば、ハイテク農業は必然的な傾向といえます。また、先進国のトレンドでもあります。現在、各地で多くの農家が先進技術を導入していますが、これは農家の決意と取り組みを示しています」
記者: ベトナム農業の展望をどのように見られていますか。
(テープ)
「ベトナム農業は潜在力が大きいと思います。四季の果物がありますし農産物も多様です。ハイテクの導入により、農業生産が迅速に発展していくと確信しています。これは社会の需要に応え、農業部門の持続可能な発展に貢献します」
記者: どうもありがとうございます。
ミン チャン・ズイ・カイン博士のインタビューでした。カイン博士によりますと、ハイテクによる農業分野の開発はベトナムの必然的な傾向ですね。
ハー そうですね。今年5月に行われた第13期党中央委員会第5回総会で、グエン・フー・チョン党書記長は「農業はベトナムのメリットである」とし、「科学技術によってさらに発展させていく必要がある」と強調しています。
ミン この見解は専門家から好評を得ていますね。
(VOXPOP)
(男性) 「栽培地や気候の多様性はベトナム農業のメリットです。ベトナムの農産品は世界の市場の需要を満たすことができます。現在、我々は価値の高い農業経済を目指しています」
(男性) 「強くなるかどうかは経済成長によるものではなく、世界が我々を必要とするかどうかということを意味します。他国がベトナムとの連携を、ベトナムがより強くなることを望むのはベトナムがグローバルなエコシステムの一部であることを意味します」
ミン お聞きいただいたのはチョン・タンが歌う「今日の稲の歌」です。今後、ベトナムは農家と企業の潜在力を発揮するため、具体的な措置をとる方針です。
ハー レ・ミン・ホアン農業大臣はVOVの記者のインタビューに答え、ベトナム農産物のメリットを活用についてその方向性を明らかにしました。
レ・ミン・ホアン農業大臣=VGP/Đoàn Bắc |
記者: ベトナムの農産物の生産と輸出に関する大臣のご意見をお聞かせください。
(テープ)
「ベトナムは市場と輸出品を多様化し、厳しい基準を設ける多くの市場に進出できるようになりました。より重要なのは、ベトナムの農産物があらゆる市場の基準をも満たすことです。生産・輸出の考え方は『自分が持つものを販売する』から『市場が求めるものを生産・販売する』にシフトしています。また、EUや、日本、アメリカなど具体的な市場のニーズに見合うものの生産も目指しています」
記者: これらは生産・輸出に関する考え方の刷新による結果ですか。
(テープ)
「考え方を変えると、人生を変えることができます。そして、アプローチ方法を変えることで、全プロセスを変えることができるようになると思います。実際から見れば、農家らの思考が『農業生産』から『農業経済にシフトしていることがわかるでしょう。新しい農業生産モデルは新しい活気を生み出しています。これは国家・市場・社会の間の連携、および国家・企業・農家の間の連携によってもたらされる価値です。これは2022年の包摂的な価値といえます」
記者: 2023年に、農業の持続可能な開発を目指し、農業農村開発省はどのような措置をとる予定ですか。
(テープ)
「今日、農産物の価値はその価格と質だけでなく、環境にやさしい耕作方法と耕作プロセスによるものでもあります。COP 26=国連気候変動枠組条約第26回締約国会議で、ベトナムは2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指すと表明しました。また、国際社会に対し、グローバルバリューチェーンに参入し、持続可能な農業を開発することも公約しました。これらの公約を具体的な行動で履行されています。そして、農家や、企業もそのプロセスに参加しています」
記者: どうもありがとうございます。
ミン 今日、ベトナム農産物は厳しい基準が設置された市場にも進出し、自らの価値を示せるようになっています。これはベトナム人の工夫や・努力を示しています。
ハー 現在、ベトナムは大きなチャンスに恵まれています。そして、ベトナムはこれらのチャンスを活かし、農産物の輸出を促進していく方針です。このことにより国の持続可能な開発事業に積極的に貢献するのは間違いないでしょう。