テイグエン地方に住むモノン族出身のアマ・コンさんは野生象298頭を捕獲し、調教したことでよく知られています。彼は2012年11月3日、102歳で死去しました。その後、家族は彼が愛用していた象の狩猟道具をベトナム民族学博物館に寄贈しました。
「象の王様」と呼ばれたアマ・コンさん
これらの道具の中に野生象の狩猟で飼育中の象を操作するための籐の鞭や木製ハンマー、縄、象の捕獲用のスリップノット、狩猟用の角笛などがあります。これらの道具は主に藤や竹、蜂のワックス、水牛の皮などで作られたものです。こうした道具を民族学博物館で保管されているドキュメンタリー映画と結合させ、かつてのモノン族の象の狩猟を再現することができるようになりました。民族学博物館館長のボ・クアン・チョン准教授は次のように語りました。
(テープ)
「テイグエン地方の少数民族からこうしたコレクションを受け取るのは今回が初めてです。このコレクションは象の狩猟で良く知られているアマ・コンさんの名と結びついています。これらの道具は298頭もの象の狩猟に使われてきましたが、モノン族の文化、風習、生活スタイルを表しています。」
生前、アマ・コンさんはドン集落で最も多くの象を捕まえた人です。また、彼は298頭の象の調教に成功したことで、「象の王様」と呼ばれました。彼はタイやラオスの王に象を贈呈した他、ベトナム最後の皇帝バオダイ王と一緒に象の狩猟に行ったこともあります。
水牛の皮でできた縄
アマ・コンさんの10番目の息子カム・フェット・ラオさんによりますと、父親が愛用していた象の狩猟道具は1世紀にわたって象の狩猟で高い知名度を博したクン・ジュ・ノフ家族から伝わったものです。ラオさんは次のように話しています。
(テープ)
「これは祖先から伝わった宝物です。今は象を狩猟しないので、これらの道具を展示品として活用しています。父が亡くなってから、母はこれらの道具を博物館に寄贈しました。これにより、今後の各世代はこの狩猟道具を見ることができるでしょう。」
水牛の角でできた角笛
ベトナム民族学博物館に寄贈した道具の他、カム・フェット・ラオさんの木造の住居には祖先から伝わる2つのコレクションが保管されています。ここに足を運ぶと、100年以上にわたって使われてきた水牛の皮でできた120メートルの縄や水牛の角でできた角笛など、独特な現物を観賞することができます。現在、野生象の狩猟は行われませんが、アマ・コンさんが残した捕獲用具はモノン族の文化生活における象の地位や役割を如実に反映するものとなるでしょう。