中部高原地帯テイグエン地方や沿海地域周辺などに住むエデ族の人々は、似たような生活スタイルと文化を保っています。エデ族の人々は服装や言語などを通じて、伝統文化の保存に取り組んでいます。中部高原地帯テイグエン地方ダクラク省、ブオンマトート市、タンロイ村、クトン集落に住む職人アマ・ホロアン (Ama H’loan)さんは音楽など学んだことはありませんが、規準を満たしたいくつもの楽器を作ることができます。アマ・ホロアンさんは70歳を超えましたが、快活な人です。彼は楽器の製造を終える毎に、演奏してみます。
クトン集落や周辺地域にアマ・ホロアンさんと同様に楽器を作れる人は多くいません。ホロアンさんが楽器製造に従事したことは偶然ではなく、楽器に情熱を燃やしていたからです。ホロアンさんは次のように話しました。
(テープ)
「これらの楽器による演奏を聴き、メロディーを覚えてから演奏を習い、夢中になりました。どんなことをするためにも熱情が求められます。ホーおじさんがおっしゃったように、『難しいことは何もありません。ただ、挫けることを恐れなさい』の気持ちです。」
毎日のように、アマ・ホロアンさんは竹を切って、楽器づくりに集中しています。ホロアンさんは手先が器用なため、作った楽器はどれもが規準を満たしています。ホロアンさんは次のように語りました。
(テープ)
「子供たちを対象とする楽器の製造と演奏を教える教室はいくつかあります。楽器を保存するためには、演奏者と製造者がいなければなりません。ですから、子供たちに歌や演奏を教えるクラスを開く必要があります。私も竹ゴングや管楽器の製造を教えています。」
芸人オイブルさん
他方、中部フーイエン省、ソンヒン県の住民は誰もが芸人オイブルさんをご存知でしょうか。彼はエデ族の伝統楽器ディンパット トランペットや銅のシンバルなどを製造、演奏できる数少ない芸人の一人です。彼の夫人と娘さん2人の家庭が住んでいる長屋にはオイブルさんが作った様々な楽器が並べられています。彼はアマ・ホロアンさんと同様に若者に伝統楽器の演奏を教えることに悩んでいます。オイブルさんは次のように述べました。
(テープ)
「18歳になってから父に楽器の演奏を教わりました。また、集落の他の高齢者からも教えてくれました。しかし、今、子供たちは民族楽器に興味がないみたいです。私たちが亡くなったら誰が受け継いでくれるのでしょう?」
このように述べたオイブルさんは管楽器でエデ族の曲を演奏してくれました。
オイブルさんは次のように語っています。
(テープ)
「伝統祭りに参加することは住民たちにエデ族の文化の美しさを紹介する機会となります。また、祭りを通じて、子供たちに伝統楽器の作り方と演奏し方を伝えたいと思います。」
アマ・ホロアンさんとオイブルさんのような芸人は生きた博物館であり、エデ族の文化価値を保存する人々と見なされています。