エデ族の母系制の特徴は、家族や社会関係から建築、楽器にも表われています。この特徴はまた、婚姻の風習にも示されています。
古来からの伝統によりますと、エデ族の家族で女性は家長の 役目です。ベトナム民族学博物館のグエン・ズイ・ティエウ館長によりますと、エデ族の社会で決定権は女性にあり、子供は父ではなく、母の名字を付けられます。ティエウ館長は次のように語りました。
(テープ)
「婚姻は女性が決めます。誰かを好きになり、結婚したかったら、両親に告げます。その後、夫は妻方の住居に入ります。産まれた子供は妻の名字を付けられるのです。妻が亡くなった場合、妻方の家族は彼と結婚する女性を探します。これはエデ語でチュエニュエ風習と呼ばれています。」
この風習にはメリットがある一方で、デメリット1もたくさんあります。実際、この風習により、恋愛の自由や男性の幸福に影響を与えるとみられます。先ほどのティエウ館長は次のように述べました。
(テープ)
「決定権は女性にありますが、男性の地位を通じて示されます。例えば、叙事詩ダムサンにはダムサンは部族長に就いた後、奥さんが権力を持つようになりました。男性は社会共同体や戦争を指導しますが、女性は直接指揮はできません。」
来客があれば、主人か息子が接客にあたります。エデ族の男性は母の一家を代表にして人生の通過儀礼などを担います。また、エデ族の母系社会の特徴の一つは長屋です。これは低い高床式の住宅で、木材や竹などで建てられ、数十人が入居することができます。中部高原地帯ダクラク省、ブオンマトート市に住むホロイさんは次のように話しました。
(テープ)
「長屋は2部分に分けられます。接客室はガフと呼ばれ、その中に、未婚男性用のトゥガフという室があります。また、夫婦用のオクという室や未婚女性用のトゥオクという室もあります。」
長屋の建築と装飾は母系制の特徴を示しています。階段と支柱には女性の乳房の形が刻まれます。長屋は2つの階段があり、男階段が前方にあり、男性用ですが、女階段は奥にあり、女性用とされています。
エデ族の女性は家の役割を果たすだけでなく、村の主人としても活躍します。女性は一家や村落の土地を管理し、村内、及びほかの村との紛争、対立を解決する人です。さきほどのベトナム民族学博物館のグエン・ズイ・ティエウ館長は次のように述べています。
(テープ)
「女性は村長であり、土地所有主でもあります。毎年、彼女たちは土地税を集め、また、住民がどのように土地を使用するかを検査します。新しい社会制度の導入により、地方当局は男性、女性ともに選出されますが、各家族の風習として女性が家長を務めます。」
エデ族の母系制はベトナムの典型的な母系社会と評されていますが、社会が発展するにつれ、エデ族の母系制は大きな変わりを見せてきています。