エデ族は大昔から中部と高原地帯テイグエン地方に居住し、独特な文化を誇っています。エデ族の源は叙事詩や建築物、造形芸術、民間文化などで反映されています。また、現在もエデ族は母系社会を維持しています。
エデ族の人口は33万人を超え、ベトナムに共存している54の民族の中で12位となっています。彼らは中部カインホア省とフーイエン省の西部や高原地帯ダクラク省、ザライ省に集中しています。エデ族の言語はマレーシア語系です。また、エデ族の人々は長屋で暮らしています。彼らの家は低い高床式であり、家族の人数にもよりますが家の長さは15mから100mまであります。長屋は大家族の世代が一緒に住むところです。これこそがエデ族の母系制度の特徴です。屋根の骨組みはほとんどが数メートルの幹から手で形作られます。ベトナム民族学博物館副館長のリュ・フン博士は次のように語っています。
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「文化面から見れば長屋はエデ族の母系社会の特徴を示していることが分かります。長屋の北方の階段と支柱には女性の乳房の形が刻まれます。また、家具も母系制を表しています」
エデ族の女性は家の役目です。子供は母方の名字を付けられ、息子は財産を受継げません。男性は結婚してから、妻方の住居に入ります。娘が財産を受け継ぎ、また、末娘は祖先の崇拝と両親の面倒をみます。娘が結婚するたびに、エデ族の人は家を繋ぎ、建て増やします。また、家の窓が、開いていれば、女性が結婚しているのです。
かつて、エデ族は狩猟や採集、畑仕事、魚釣り、機織などに従事していましたが、現在は農産物加工、コーヒー、ゴム、コショウ、ココアなどの工業用植物の栽培を行っています。また、水牛、牛、像の畜産も営んでいます。さらに日常生活や宗教
儀式用の細工物や木材製品、装飾品、焼き物を造っています。エデ族は高原地帯テイグエン地方のほかの少数民族と同様に天(Giang)を最高神と見なし、雨、山、川、森などには神が宿ると考えています。また、家から草、ドラのシンバルまでどれもが魂があるとしています。テイグエン文化研究者のグエン・チュさんは次のように述べました。
(テープ)
「川や山など自然はエデ族の文化を作り上げます。また、これはエデ族が祖先や森林の恩を思い出すための方法です。ドラやシンバルの演奏によるメロディーは山林、川の共鳴のように聞こえます。」
現在も、エデ族の人々は水牛進物祭り、新宅祝い祭り、成人式などの伝統儀式や祭りを保っています。一方、エデ族の口承文学は神話から昔話、フォーク、諺、叙事詩まで豊かとなっています。また、伝統楽器はドラやシンバル、笛、太鼓などがあります。
今日、エデ族の生活は大きく変わっていますが、伝統文化と風俗習慣が保存されています。エデ族の独特な文化はベトナム各民族の文化の一翼を担っているとみられます。