ガイ族の結婚式

かつて、結婚相手を決めるのは親でしたが、現在は、男女たちが自由に結婚相手を探すようになりました。しかし、ガイ族は父系制に従うので、結婚相手を探すとき、男性は能動的で、女性は受け身であるのが一般的です。また、かつて、媒酌人は結婚に重要な役割を果たしました。タイグエン省ドンヒ県タムタイ村に住むガイ族の一人タム・ジック・トさんは次のように話しました。

（テープ）

「かつての結婚は媒酌人が大いに助けてくれました。媒酌人は男性と女性の年齢に基づいてふさわしい結婚相手になれるかどうかを見てくれます。もしふさわしければ、媒酌人は結婚について女性の家族と話し合います。女性の家族が同意すれば、結納式の日取りを決めます。」

結婚相手を探すとき、ガイ族の人々は、男性と女性の年齢がつりあうかどうかを重視します。媒酌人は中国古来の哲理にいう五行説に従って双方がつりあうかどうかを判断します。媒酌人はつりあうと判断すれば、女性の家族に知らせるとともに、男性の家族を代表して婚姻関係へのお願いとしてちょっとした贈り物を手渡します。相手が同意しなければ、女性の家族はその贈り物を返します。もし同意すれば、その3か月以内に、結納式が行われます。先ほどのトさんは次のように話しました。

（テープ）

「結納の儀を行う前に、男性の家族は鶏、もち米、お酒などを用意しておきます。二人が夫婦になるため、結納式の贈り物はすべてセットでなければなりません。例えば、鶏は2羽で、お酒は2本の瓶です。結納で、両家は食事をしながら、結婚式について話し合います。」

ガイ族の結婚式は旧暦の10月から翌年の3月までの期間で2日間行われるのが一般的です。1日目は、男性の家族が、結納式で合意した婚姻用品を女性の家族に持っていきます。この婚姻用品は、幸福や楽しさ、豊かさを象徴する赤い紙に貼られます。2日目は、花嫁を花婿の家に迎える儀式です。媒酌人の主宰の下、女性の家族の祭壇の前で儀式が行われ、その後、両家族は宴会を楽しみます。先ほどのトさんは次のように話しました。

（テープ）  

「花嫁が花婿の家に着いたら、祭壇に線香を手向け、ご先祖に報告します。花婿は母方のご先祖に、花嫁は父方のご先祖に線香を手向けます。結婚式の翌日、両家族はまた会って、感謝の言葉を交わします。」

かつて、他の民族と結婚するガイ族の人は少なかったのですが、現在は、多くなっています。また、結婚式における媒酌人の役割は減っています。そして、節約するためにいくつかの儀式は省略されましたが、結婚式後に双方の家族が感謝の言葉を交わす儀式や、花嫁の親が娘に資金をあげる習慣などの良き伝統は依然として保たれています。