少数民族クホ族は自らの豊かな伝統音楽を誇りとしています。お祭りや行事などで、6個からなる銅鑼セットや、竹や石でできた楽器など様々な楽器を使って伝統音楽を披露するのはクホ族の人々にとって最大の幸せの一つです。
クホ族の伝統音楽の中で、民謡は精神生活にとって重要な存在です。クホ族の女性たちは誰もが赤ん坊の時から母親の子守唄を通じて民謡を覚えます。15、16歳になってからは、歌垣で民謡を歌ったり、伝統楽器で演奏したりして友達や恋愛相手を作ることができます。また、伝統楽器の演奏とあわせる踊りや民謡は村の祭りや行事などに欠かせないものです。そして、お年よりは、民謡でお客さんをおもてなしするとともに、子どもや孫に民族の伝統や歴史を物語る習慣があります。
クホ族の民謡は歌垣、子守唄、友達を作るための歌など種類がたくさんありますが、歌詞がクホ族の生活様式と考え方を反映するのは民謡の特徴です。こうした民謡は、代々受け継がれるもので、家族とコミュニティのつながりの維持に役立っているとされています。
銅鑼の演奏
クホ族の楽器は種類がたくさんあります。その中で、銅鑼は一番重要な楽器です。クホ族の楽器の収集家グエン・ヴァン・メンさんは次のように語りました。
(テープ)
「クホ族にとって重要な楽器は銅鑼です。銅鑼は結婚式に欠かせない楽器です。そして、新築祝いでも、収穫祝いでも使われます。」
クホ族は6個でワンセットの銅鑼をよく使っています。その中で、「メ」と呼ばれる銅鑼は拍子を作るもので、「ルドン」という銅鑼は「メ」の銅鑼のアシスタントとしての役割を果たします。拍子は種類が36あり、イベントによって異なります。銅鑼を叩くとき、6人がそれぞれ一つの銅鑼を持って決まったルールで並んで叩きます。
現在、国はクホ族を始め少数民族の伝統音楽の保存と開発に関心を寄せており、いろいろな支援政策を実施しています。クホ族の文化研究者ハー・ヴァン・ジンさんは次のように語りました。
(テープ)
「国は各集落で「文化の家」という村人の集会所の建設を進めています。また、クホ族の楽器の保存に特別な関心を寄せています。国の支援によって、「文化の家」はいろいろな楽器や服装を提供され、伝統文化の保存に役立つイベントをよく行っています。」
クホ族は今も、銅鑼や太鼓などをはじめ、伝統楽器を大切な財産とみなしています。また、これらの楽器は自らの伝統文化の保存に重要な役割を果たしていると考えています。