ベトナム中部高原地帯テイグエン地方に居住している少数民族と同様、クホ族の伝統的な家は高床式の家です。現在、どんどん近代的な家が建てられていますが、伝統的な家はまだ大切にされています。
クホ族の伝統的な高床式の家
クホ族の高床式の家は竹や木など自然の素材で建てられます。家の柱は木材ですが、壁やドア、床は竹で作られます。その中でも、「ロオ」と呼ばれる竹がよく使われます。数十本のロオの竹がしっかりと組まれて床になります。そして、屋根は籐の葉かアシで葺かれます。少数民族文化の研究者グエン・ヴァン・ゾアンさんは次のように話しています。
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「クホ族の伝統的な家は、木の皮を剥いてから家の柱や欄干に使われます。壁は木材の板か竹による編み板からなりますが、木工の板はあまり平らに削られません。そして、屋根は籐の葉を組んで葺かれます。近年、クホ族の人々は伝統的な高床式の家より低い高床式の家、及び、近代的な家に住むようになっています。」
クホ族の伝統的な高床式の家は部屋が3つあります。中央は居間で、右は両親の部屋、左は娘の部屋です。中央の居間は家族の神聖なところとして、神様を祀る祭壇があります。その祭壇の下には銅鑼が置いてあります。銅鑼は祭りや儀式などに欠かせないもので、クホ族の精神生活にとって重要な存在です。銅鑼は豊かさを示すものとされているので、居間に銅鑼がたくさんあればあるほどいいと考えられています。そして、居間の飾り物として無くてはならないもう一つのものは一本の竹でできた飾り物です。この竹は銅鑼や、鳥、人間の様々な姿を描いたり、飾ったりするもので、クホ族の世界の見方を示しています。
中央の居間には飾り物などがたくさんあるのに対し、右側にある親の部屋と左側にある娘の部屋は簡単に飾られています。クホ族は普段、ベッドではなく、ゴザで寝ます。少数民族文化の研究者フン・ティ・リエンさんは次のように話しています。
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「娘の部屋は親の部屋と同じように、飾られますが、娘のプライベートなものを入れるためのカゴなどが置いてあります。クホ族は母系社会で、親と一緒に住むのは娘だけです。結婚年齢になると、娘は良い男性を選んで、「夫を捕まえる」儀式を行ないます。結婚後、男性は女性の家に引っ越し、結婚生活を始めます。」
テイグエン地方に居住している他の少数民族の多くと同じように、クホ族は囲炉りを大切にしており、居間の入り口の近くには常に囲炉りがあります。囲炉りの周りの空間はお客さんの接待場所であり、家族団欒の場所でもあります。こうした囲炉りは料理を作るためのものでありません。料理を作るためのコンロは同じく居間にありますが、居間の奥に置かれます。しかし、最近建設された高床式の家と近代的な家では、台所は居間の隣に立てられるようになりました。
現代生活の影響で、クホ族の居住地では、伝統的な高床式の家が少なくなっており、家の中の飾りも現代化になりつつあります。しかし、伝統的な高床式の家はクホ族の生活の中で依然として重要な存在として大切に保たれています。