ベトナムの他の民族と同様、中部高原地帯テイグエン地方に居住している少数民族クホ族は自分で衣服を作り、自らの民族衣装を誇りに思っています。クホ族の民族衣装は、この民族の文化や特徴を示すものです。
クホ族の女性たち
昔、クホ族の人々は簡単な衣服を着ていました。暑いとき、男性は腰巻き布だけ、女性も裸にスカートをまとっただけでした。当時、布が珍しかったので、寒いとき、寒さ対策として木の皮でシャツを作りました。社会の進歩に伴い、女性は上半身裸ではなく、独自の衣服を着ています。これにより、クホ族の機織りと縫い物の技術がかなり発展しました。
しかし、現在も、衣服の美しさに対する考えは依然として素朴です。男性の民族衣装は昔と同じように、腰巻き布1枚ですが、昔より大型になりました。長さ1.5メートル〜2メートルのこの布は縦に模様があります。クホ族の一人ズオム・ダイ・バットさんは次のように話しました。
(テープ)
「腰巻き布の模様は昔と変わりません。その模様は布の縦に施されます。また、布の両端にはフリンジ(房飾り)がつきます。これらは腰巻き布に欠かせないものです。腰巻き布と言っても、短すぎてはいけません。膝を越えなければなりません。」
男性は、腰巻き1枚しかまとわない時もあれば、シャツも着る時もあります。男性のシャツは、襟元が丸くて袖がないですが、その色は黒かネイビーブルーです。男性のシャツはかつて布の紐で留められましたが、最近、ボタンで留めるシャツもあります。シャツには花や鳥の模様がよくつけられます。
クホ族の女性は誰もが、母から衣服の作り方を習います。それは、自分と家族の衣服を作るためだけでなく、婚礼用品としての衣服を作るためでもあります。女性が美しい衣服を着れば着るほど、男性の目を引くと言われています。その女性は家事が上手だと、男性は信じているからです。
クホ族の女性は、腰からくるぶしまでのスカートをよく着ています。男性と同様、シャツは襟元が丸くて袖がないというのが一般的です。女性のブラウスは、体にぴったりと合うので、女性の美しさをさらに強調します。スカートとシャツは、その女性が模様を通じて自分の思いや考え、性格を示すところです。模様は、動物や家具などたくさんありますが、それぞれに意味があります。例えば、鳥の目は大自然の中に住みたいという思いです。少数民族の衣服を研究している画家レー・ヴァン・クオンさんは次のように語りました。
(テープ)
「クホ族の衣服には独特の模様があります。クホ族は、黒とネイビーをはじめ、暗い色の布が好きです。1枚の布には普段、模様の塊が二つあります。これらの模様の塊は規則があります。例えば、この色はここで横に、そこで縦に施されるということです。こうした布を作るには、熟練職人の技が必要です。」
現在、クホ族の人々は日常生活であまり民族衣装を着用せず、よく洋服を着ていますが、祭などでは、どうしても民族衣装を着用しなければなりません。