コトゥ族の「お見合い」デート風習

中部高原地帯テイグエン地方に住むコトゥ(Co Tu)族にとって婚姻は家族はもちろん、集落の重要な通過儀礼となっています。現在も、中部クァンナム省に住むコトゥ族の人々はズオン(Duong) といわれる「お見合い」の風習を大切に守っています。今日はこの風習についてご紹介します。

コトゥ族の「お見合い」デート風習 - ảnh 1
コトゥ族の集落

クァンナム省のドンザン県とテイザン県に住む高齢者によりますと、昔、コトゥ族の男性は20歳から22歳になると狩りに出て、生計を立てること、また、女性は18歳から20歳になると料理や機織ができなければ結婚相手に選ばれません。春の種蒔(たねま)きや新米の収穫を祝う祭り、集会所グオイの新築を祝う祭りなどの祝いごとの場で若い男女は結婚相手を探します。男性はデートをするため、林のふちや畑にズオンという草ぶき屋根の小屋を建てます。また、この小屋は村人に公開しなければなりません。ドンザン県に住む高齢者ホ・ニュアンさんは次のように話しました。

(テープ)

「コトゥ族のズオンというデート風習は未婚の男女だけが対象です。これは若い男女が夫婦になるように、デートの機会を与えるものです。2人は徹夜で、話し合って、一緒に寝ることはできますが、最後の一線を越えてはいけません。コトゥ族の規則に基づき、男女はズオンというデート中に、性行為を行うと、厳罰に処されることになります。」

コトゥ族の「お見合い」デート風習 - ảnh 2
コトゥ族の女性

コトゥ族の男女は徹夜で、さらに長い日々にわたって付き合うことができます。テイザン県、アサン村、カノン集落の長老アランウンさんは次のように語ってくれました。 (テープ)

「若い頃、僕と村の青年たちはズオンというデートをしましたよ。朝まで、話し合って、家庭生活への夢や願いについて語り合いました。ただ、性行為などは絶対にしませんでした。」

コトゥ族の規則では、結婚の前に、性行為を行うことや、妊娠することは厳重に罰せられると規定されています。また、この規則に違反した男性は厳しい処分を適用されます。コトゥ族の若い男女は誰もがこの規則に明るいことから、交際に際し、規則を厳格に守っています。テイザン県、チョウン村、ズルオット集落の長老ブリン・プリュさんは次のように語りました。

(テープ)

「コトゥ族の規則によりますと、3年ないし4年間にわたるズオンというデートをしている間に、妊娠してしまった女性と相手は厳格に処分されます。二人は水牛、または牛を殺し、すの肉を村人全員に分配します。また、男性が妊娠させた相手と結婚しない場合、水牛、牛、銅鼓のドラやシンバル、貴い装飾品などを女性の家族に賠償しなければなりません。更に、その男性は共同体から村八部にされることもあります。」

ズオンというデート風習はコトゥ族の美しい文化の一翼を担っていて、古来から続く通過儀礼の一環でもあります。また、共同体に婚姻の尊重・保護という意識を芽生えさせることが狙いです。現在、コトゥ族は現代生活の文化的要素を取り入れながらも、民族色豊かな風習の保存に力を尽くしています。

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