コトゥ族の狩猟用のクロスボウといわれる石弓づくり技術は大昔から伝わるものです。現在、中部クァンナム省、ドンザン県のボホン集落は優れた石弓の射手を輩出し、クァンナム省の石弓づくり技術を受け継いでいることでよく知られています。今日はコトゥ族の石弓づくりと射撃名人についてご紹介します。
昔から木でできた石弓はコトゥ族にとってお馴染みのものであり、狩猟に使われてきました。また、フランス植民地主義者とアメリカ帝国主義者との戦いでも石弓は武器として活用されてきました。ボホン集落の高齢者によりますと、石弓はコトゥ族にとって極めて重要な意味を持つもので、欠くことのできない持ち物の一つとなっています。ブリュ・ブットさんは次のように語りました。
(テープ)
「先祖は石弓を狩猟や戦闘に使っていました。イノシシなどの大きな獣の狩猟や敵の射撃に有利です。毒をつけた矢が体に命中すると治りません。今、狩猟は禁止されていますので、石弓はスポーツ試合で使われます。」
矢はローオという木から作ります。コトゥ族はクァンナム省西方にある山にしかない木の樹脂から採られる毒を矢の先端につけます。石弓の製造は芸術的創作ともいえます。ブリュ・ベさんは次のように話しました。
ブリュ・ベさん
(テープ)
「大昔から、コトゥ族のご先祖は石弓を作ってきました。製造技術は代々にわたり伝わっています。石弓づくりはとても難しいです。林に行って木を選ばなければなりません。2、3日かかる時もあります。その後、火であぶりながら、木の皮をむき、曲げます。石弓を作れる人はわずかですが、射撃名人は多いそうです。」
現在、ボホン集落の射撃手たちは祖先のように動物や敵を標的にしませんが、省や国家レベルの石弓射撃試合で様々な賞を獲得しています。優れた射撃手として知られる さきほどのブリュ・ブットさんは石弓の射撃には高い技術とまじめな練習が求められると明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「幼いな頃、父の石弓を撃つ練習を見て好きになりました。ですから父に射撃方法を教わりました。10年前からスポーツ試合に参加しています。」
ブリュ・ブットさんをはじめ、射撃手たちは毎日、練習に励んでいます。ブリュ・べさんは次のように語ってくれました。
(テープ)
「毎日、午後4時過ぎから5時頃、練習します。暑い時に練習すると石弓が壊れてしまうこともあります。」
昔、コトゥ族の石弓技術は村を守るため、敵の撃破に役立っていましたが、現在はスポーツ用具として活用されています。これはコトゥ族の文化の美しさを表すものかも知れません。