コトゥ族の集落は貧富の差を問わず、グオイ(Guol)という集会所があります。これは集落共通の家で、新米の収穫を祝う祭りや、豊作を祝う祭りなど伝統的な祭りが開催する場所となっています。
コトゥ族の人々は集落づくりや住居の建設に際し、まず土地を選ばなければなりません。村人は共同でグオイという集会所を建設します。この家は神聖な場所であり、神、祖先が宿る場所でもあると考えられています。未婚の女性がグオイに入ることは禁止されています。また、グオイに入る時、喧嘩をしたり、暴力行為をしてはいけません。長年にわたり、コトゥ族の文化研究に携わっているクァンナム省、テイザン県のブリュ・リエックさんは次のように語りました。
(テープ)
「大昔からコトゥ族の人々は一ヶ所に集って、グオイの周りに住居を建設してきました。高原地帯テイグエン地方のバナ族、エデ族はロンという集会所、また、キン族はディンという集会所を建てますが、コトゥ族のグオイは集落の魂となっています。これは神を祀る神聖な場所であるだけでなく、重要な祭事が開催される場所であり、村や家族の課題を協議する所でもあります。それで、グオイはコトゥ族の文化と信仰精神生活において特別な意義を持っています。」
グオイという集会所は高床式の家で、中央にある一本の大きな柱と周りの8本の柱で支えられます。グオイはすげ笠ノンや亀の甲羅を模して建設され、屋根はノンという葉で葺かれます。また、壁は水牛、ボアなどの動物や日常生活様子の影像が彫刻され、室内に楽器、狩猟され、または祭りで屠殺された動物の頭や骨が飾り付けられています。グオイという集会所はコトゥ族の集落の象徴となって、その大きさは村の権威とパワーの象徴です。ドンザン県、バ村、トンコイ集落に住むイコン長老は次のように話しました。
(テープ)
「グオイはコトゥ族の伝統的な家です。グオイのない村は文化の伝統を失った村と同じです。それで、村人は力を合わせ、グオイの建設に取り組んできました。この家はおよそ3億ベトナムドン(約150万円)をかけましたよ。住民の苦労は数えきれません。」
戦争や生活の現代の影響を受け、何軒ものグオイが破壊されつつあります。こうした実情を踏まえ、この数年、クァンアム省行政と文化部門はコトゥ族の伝統文化の保存と発揮を目指し、グオイの復旧に力を入れています。これまで、省内のコトゥ族の集落にほとんどグオイが建設されてきました。ちなみに、テイザン県はクァンナム省の各県に先駆けて、グオイの復旧を行いました。県の中心にある丘陵には1軒の中核的なグオイと県内の10村を代表する10軒のグオイが立ち並び、その建築様式と装飾は異なっています。さきほどのブリュ・リエックさんは次のように述べました。
(テープ)
「村のこうした文化財を長く保存すれば、他の文化財も維持することができ、コトゥ族の伝統を保てることでしょう。グオイにコオゥ族の伝統文化が存在し続けると確信します。」
クァンナム省のドンザン県とナムザン県の集落の80%はグオイという集会所を建設しました。これはコトゥ族の文化保存の援助に取り組んできた地方行政の努力の表れです。ドンザン県人民委員会のレ・チェ・トゥイ副委員長は次のように語りました。
(テープ)
「当委員会の幹部はそれぞれの村に赴き、住民に対し、グオイの建設用地を提供するよう呼びかけています。官民の協力で建設が行われます。また、企業の援助を受けた村もあります。県民はグオイの建設運動を積極的に支持しています。今後、グオイの修復と他の文化財の保存に投資を集中させる計画があります。」
グオイという集会所はコトゥ族の代表的な建築物であり、その復旧はコトゥ族の伝統的な文化価値の克服に寄与するとみられます。現在、グオイという集会所はホーチミン・ルート探検ツアーの目的地となっています。