少数民族コム族はトウモロコシ、タピオカ、ジャガイモなどの栽培を本業としていますが、副業として竹細工、籐細工、鍛冶屋、木工仕事などをしています。その中でも、竹細工と籐細工は最も盛んで、主たる生計の一つとなっています。
大自然の中で暮らしているコム族は昔から、竹や籐を使って家具を作る習慣があります。竹や籐はコム族の職人たちの巧みな手際によって便利な椅子、お盆、籠などになります。これらは単なる家具ではなく、大自然のにおいとコム族の文化が潜んでいるものでもあるとよく言われています。
コム族は子どもの頃から、親などから竹細工や籐細工の技術を習います。そのため、コム族の人々のほとんどはこの細工をできます。特に、近年、これらの家具はよく売れていますから、多くの人にとって主な生計の一つとなっています。コム族の一人セオ・ヴァン・ホエさんは次のように話しています。
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「コム族はよく竹や籐で家具を作って、子どもにその編み方を教えますから、誰もが作ることができます。そして、現在は、そういうものは、自分が使うだけでなく、よく売られていますよ。」
コム族は、家具のほか、農具や信仰儀式で使われる道具も竹や籐で作っています。これらは、美しいだけでなく、丈夫で長持ちするものが多いです。家具によって編み方が異なりますが、籠と椅子はより高い技術が求められます。少数民族の家具の収集家グエン・チュン・タインさんは次のように話しています。
(テープ)
「竹や籐でできたコム族の家具の中で、「エン」(Eng)と呼ばれる籠は編み方が最も複雑なものの一つです。コム族の籠はモン族の籠と大体似ていますが、その口は大きく、籠の紐には布がついていて、持ち手が運ぶとき、その布は持ち手の額にくっつきます。これにより、体の重量と籠の重さのバランスがとれます。」
コム族は、食料や食べ物などを入れる籠を作るとき、籠に模様をつけると、その持ち主の仕事がうまく行くと信じられています。
竹は家具、農具、道具などの生産によく使われるだけでなく、楽器の材料ともなっています。いい楽器を作るためには、その職人の手際、経験、そして、心をこめることが必要です。コム族の職人コン・ザンさんは次のように話しています。
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「笛などの楽器を作る時、まだ青い竹を選びます。これは巧みな手際を求めます。コム族の子どもがこの伝統的な職業を受け継ぐために、私たちは子どもたちにその技術と精神を教えています。」
近年、コム族の多くの村で、竹細工・籐細工の協同組合が設立されたことにより、それらの商品の生産量と価値が増えつつあり、村人の主な収入になっています。