コム族の信仰


少数民族コム族は一年を通して様々な祭事を行います。村の魂を祭る儀式や先祖を祭る儀式、稲の母を祭る儀式、収穫を祈る儀式などを催しています。これらの儀式はコム族の信仰の象徴であり、この民族の価値観を示すものでもあります。

ベトナムの他の民族と同様、コム族は先祖を祭ることを大切にしており、お正月などに行われる先祖を祭る儀式を最も重要な儀式の一つとみなしています。コム族の高床式の家の中の最も大きい部屋には、先祖を祭る祭壇があります。この祭壇には定期的に供え物を捧げていますが、お正月に大きな儀式を行う習慣があります。コム族の一人ルオン・ヴァン・ビンさんは次のように話しています。

(テープ)

「この儀式は、家族の人たちが健康で過ごし、事故や困難に遭わないようにするためです。儀式の供え物として欠かせないのがゆでた2羽鶏です。」

コム族の信仰 - ảnh 1
コム族の祭壇

コム族の人々は、鶏にその年の家族の出来事を先祖に報告し、もう一つの鶏には新年の健康と幸福を祈願するものであると考えています。儀式には家族全員が出席しなくてはいけません。儀式で、家族の人たちに平穏、健康、幸運を祈るために、家族全員のひざに鶏の血をほんの少しだけ塗ります。

コム族の考えでは、お正月は家族団らんのためのもので、今生きている家族の団らんはもちろん、ご先祖と子孫との団らんでもあります。そのときは、子孫がご先祖に親孝行を示すチャンスであるということです。コム族の一人ルー・ヴァン・ホイさんは次のように話しています。

(テープ)

「幼い子どもの頃から、ご先祖を祭る儀式をやめてはいけないという教えは親からよく聞いています。そうしないと、神様のバチがあたるというのです。この儀式は昔から年に1度行われていますが、新年を迎える意味もあります。」

コム族の信仰 - ảnh 2
コム族の行事

コム族の家の中には先祖を祭る祭壇のほか、かまど神を祭る祭壇もあります。その祭壇は台所に置かれています。かまど神のほか、山、森、畑などの神様を祭る習慣もあります。その中で、それぞれの神様に収穫を祈願する儀式は最も重要な儀式の一つです。山、森、畑などは人間の生活と生産に大きな影響を与えていると考えられているのです。収穫を祈る儀式は、各神様を祭る式、稲を大切にする式、雨乞いを祈る式、種まき式、及び、民間遊戯など5つあります。

これらの儀式を通じて、コム族の信仰がわかるとよく言われていますが、それは大自然を尊重・保護することや、先祖の恩に報いることという意味深い哲学を含むことでしょう。

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