(VOVWORLD) - 中部高原地帯テイグエン地方にあるコントゥム省はエデ族やバナ族、ジェチエン族などの少数民族が多数暮す地方で、少数民族居住地の多くはまだ貧困状態にあります。近年、コントゥム省は、少数民族の人々が貧困状態から脱出するために多くの支援政策をとっており、その中で、少数民族の人々に低金利で融資を提供する政策は波及効果が大きいとみられています。
大きく変貌しているコントゥム省 |
コントゥム省ダクグレー県ダククローン村ダクワク集落に暮らすジェチエン族の一人ア・アン・トアンさんは無一文の貧困状態から脱出した一例です。15年前はトアンさんの世帯は集落で最も貧しい世帯の一つでした。土地があっても資金も技術も知識もなかったため、生産性の低いトウモロコシや稲しか栽培できませんでした。そのため、毎年、食料不足に陥いり、国から食料援助を受けなければなりませんでした。
2013年、トアンさんは、国から1億2千万ドン(日本円で60万円)の低金利融資を受けコーヒー栽培と牛の飼育に投資しました。現地行政府の技術指導も受けられ、コーヒー栽培と牛の飼育が順調になったことで、彼の家族の暮らしが徐々に改善されてきました。
低金利融資を受けてから10年がたった現在、トアンさんは3ヘクタールのコーヒー農園、2つの魚の養殖場、毎年200匹の子豚と15トンの豚肉を出荷する養豚場を持つほどに成長し、ダクワク集落のお金持ちの一人となりました。また、今年初め、彼は8億ベトナムドン(400万円)の融資を受け、農産物の仕入れとエサの販売にもビジネスを広げました。トアンさんの話です。
(テープ)
「ベトナム農業農村開発銀行からの融資は我が家の収入向上と生活改善にずいぶんと役立ちました。我が家は貧困を抜け出すために何か新しいことをしなければならないと始終考えていました。低金利融資を受けられることを知り、お陰様で、ビジネスが順調になり収入が向上しました。これから、私は村人にこの方法を伝え、村の経済開発に貢献したいと思います」
ベトナム農業農村開発銀行ダクグレー県支店のア・レ・チュック副支店長によりますと、この5年、同行の少数民族出身のお客さんの融資額は2倍になっており、そのほとんどは高い効果があるとしています。これにより、少数民族の多くが貧困状態から脱出したとしています。チュック氏は次のように語りました。
(テープ)
「ベトナム農業農村開発銀行の使命は、農業・農民・農村を開発するということです。現時点で、ダクグレー県の住民、中でも少数民族の人々に提供している融資総額は8560億ドル(日本円で47億円)に上っており、その9割は農業・農民・農村の開発に充てられています。当行の融資により、住民たちはコーヒー栽培やゴム栽培、牛の飼育を効果的に行っており、よりよい生活が送れるようになっています」
ア・クロクさん |
一方、コントゥム省ゴックホイ県ダクス村ダクタン集落に暮らすセダン族の一人ア・クロクさんはコーヒーを栽培する代表的な農民として知られています。15年前に、ア・クロクさんは総額5億ベトナムドン(250万円)の融資を受け、3ヘクタールのコーヒー農園に投資しました。順調な運営により、面積が8ヘクタールに上ったこの農園は20人の雇用を創出し、毎年120トンのコーヒーを出荷しています。また、昨年、ア・クロクさんは20億ベトナムドンの融資を受け、コーヒー乾燥用の施設に投資しました。ア・クロクさんの話です。
(テープ)
「テイグエン地方の少数民族居住地を対象とする党と国家の経済開発政策によって、ダクス村に暮らすセダン族を含むテイグエン地方の各民族の生活が改善されています。かつて、農業農村開発銀行から5億ベトナムドンの融資を受け、コーヒーを植えました。その3年後収穫できました。それ以降、我が家の生活は安定しています」
農業農村開発銀行コントゥム省支店のハ・ティ・タイン・ホア副支店長は、この5年、コントゥム省での同行の貸出の伸び率は15%以上を維持しており、その8割以上は農業農村に関わっていると述べ、次のように語りました。
(テープ)
「近年、農業農村開発銀行コントゥム省支店は、農業・農民・農村の開発に関する国の政策の実施を促すよう各県の支店で指導しています。特に、僻地にある各県では、キャッシュレス化や近代的なインターネットバンキングを進めるなど、農村部に見合うサービスの展開に尽力しています。これは、少数民族の人々を始め、住民の経営生産活動と生活に役立っています」
コントゥム省は低金利融資の提供のほか、少数民族の人々に栽培や畜産への科学技術の導入を指導するとともに、効果的な生産モデルを拡大しています。これにより、同省の少数民族の人々が持続可能な貧困解消を目指すことが期待されています。