(VOVWORLD) - ベトナム中部クアンナム省とクアンガイ省に住む少数民族コー(Cor)族の人口はわずか4万人ほどですが、豊かな文化を誇っています。その中で、特に、新米祭りはコー族の文化を示す代表的な行事とされています。
旧暦の10月末か11月の始めはコー族の収穫期です。収穫する前、村人は会合を行い、豊作を与えてくれた神様と先祖に感謝の気持ちを表すための新米祭りの開催について話し合います。
神様への供養物をする儀式 |
コー族の言語で「サーニク(Saaniq)」と呼ばれる新米祭りは3日間を通して行われます。まず初日は、村人たちが田んぼに神聖な稲を刈りに行きます。田で稲を刈る作業を最初にやる人は村長でなければなりません。初日の午後、女性たちは民謡を歌いながら、コメを搗いて各種のお餅などを作ります。それに対し、男性陣は竹を編んで、お供え物の置物を作ります。クアンガイ省チャボン県ザザン村に住むホー・ティ・ランさんは次のように話しました。
(テープ)
「田んぼから戻ったあと、早めに食事をしてお餅を作ります。これらのお餅は、翌日の儀式のお供え物になります。」
2日目、村人は早朝から、神様へのお供物をする儀式を準備します。最初は午前4時に女神にお供えをする儀式で、その供養物は鳥、森に生息する動物、お酒などです。次は神様への供養物をする儀式で、その品々は生きている豚と鶏です。その後、これらの豚と鶏は調理され、茹でられた後、また祭壇に置かれて先祖に供えられます。その後、村人は供えられたものを食べながら、互いに幸運を祈ります。
神様への供養物 |
村人は茹でた鶏の足の骨を村長に見せます。村長はその骨を見て、その年におけるその家族の幸運や不運を予測します。また、村長は自分の家で村の平穏と時期の豊作を祈る儀式も行います。コー族の一人ホー・ヴァン・ビエンさんは村人は互いに家を訪れ、健康や幸運、豊作を祈ると述べ、次のように話しました。
(テープ)
「コー族の人々は稲作などをして収穫する前に、必ず新米祭りを行います。これは村の平穏と豊作を祈るものとしてコー族にとって最も重要な祭りです。」
神様と先祖にお供え物をする儀式の後、村人は民族衣装を着ながら、ドラや太鼓のメロディアに合わせて踊りをしたり、民謡を歌ったりします。また、ドラ演奏コンテストや、石弓コンテストなどの民間遊戯も行われます。
そして、3日目には、村人は田んぼへ出かけて耕し初めをします。これは、次期の収穫も豊作になることへの希望を託します。
こうした新米祭りは稲の神様を祀るコー族の信仰を示すもので、今日もなお、大切にされています。