平安を祈る祭りは北部クアン・ニン省、ホアインボ県、バンカ村に住むザオ・タイン・イ グループの神への供養儀式です。この祭りは年に4回、行われ、13の儀式が含まれています。それぞれの儀式には異なる武術が披露され、独特な意味を持っています。
ザオタインイの豊作を祈る儀式
祭りの幕開けの合図は太鼓の合奏です。ザオタインイの若い男性らが太鼓を打ちながら、リズムをとり、踊ります。ホアインボ県、バンカ村、第2集落の長老レ・バン・ウットさんによりますと、一年中、どんなに忙しくても、ザオタインイグループの人々は武術の練習に専念するとともに、健康増進に取り組み、農業生産活動や居住地の安定を確保することが狙いです。太鼓の演奏が終わると、縁起のいい亀を真似た踊りが続きます。神亀は悪いことや不運を取り払って、幸運をもたらすと思われています。バンカ村、第2集落の住民ダン・タイン・ルオンさんは「ザオタインイ コミュニティでは亀が重要な意味を持ち、尊重されている」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「亀の甲に模様がたくさんありますが、ザオ族の衣装や日用品などに亀の甲の模様が取り入れられています。亀はおよそ200年生き続け、その模様も永遠に残ることから、私たちは亀の長寿を敬い、その模様を好むのです。」
神亀踊り後、竜の舞いが披露されます。8人の男女が二人ずつ4組に分かれて、向かい合います。男性は竜や鳳凰の模様をあしらった赤い長い上着、女性は藍色の上着を着用し、銅の銅鑼と太鼓が速めに演奏される時、8人は休まず踊り続け、竜が放水するような格好をします。ザオタインイ グループの物語では竜は幸運と繁栄をもたらす架空の動物とされています。また、旱魃の時、竜が表れ、乾燥した田畑に放水するということです。先ほどのレ・バン・ウットさんは次のように語りました。
(テープ)
「竜の舞いは農作業の雨乞いをするためのものです。竜の舞いに参加者数は6人から8人、または10人です。少なくとも4人が竜の放水場面を行う必要があります。」
平安を祈る祭りに、ザオタインイの人々は鶏供養儀式や鳳凰招待の儀式なども行います。3人の男性は長老から渡された1杯のお酒を飲んだ後、3羽の雄鶏を抱きながら、太鼓のリズムに乗って踊ります。長老リ・バン・ウットさんは次のように説明しました。
(テープ)
「この踊りには、3人の男性がそれぞれ鳳凰を象徴する鶏を抱いて踊ります。踊りが終わると、彼らは両手を合わせ4方向に向かって礼をします。」
祭りでは、それぞれの儀式に見合う歌が歌われます。歌い手はいずれも女性であり、祈祷師により慎重に選ばれた人です。祈祷師のダン・バン・トゥオンさんは次のように話しました。
(テープ)
「一つの曲を繰り返すのではなく、舞いに相応しい曲を見つけなければなりません。例えば、神亀踊りに、亀が長生きして、人間に長寿と健康をもたらすという意味の歌が歌われす。一方、竜の舞いの場合は旱魃の時、竜が田畑に放水し、豊作を与えるという内容の歌です。祭りの幕開けに、神様、守護神への供養を行うのです。」
ザオタインイの伝説によりますと、大昔、ある神様は天からこの世に降り、住民にお祈りの儀式を教えたとしています。ザオタインイ グループの平安を祈る祭りとして旧正月の元日に開催される儀式は最も重要な意味があり、順調な天候、豊作を祈るものです。