ザオ・ロガン グループのトリプティク(聖画)とは?
ザオ・ロガン グループは道教を信仰し、様々な神様を祀るザオ族の数少ないグループの一つです。道教の各儀式は葬儀や成人式、結婚式など人生の通過儀礼として、ザオ・ロガン グループの生活に多大な影響を与えています。どんな儀式にもトリプティクは欠かせません。ザオ・ロガン グループにとってトリプティクは神の現れであり、教育効果もあるとしています。
ザオ・ロガン グループのトリプティク(写真:baoquangninh.com.vn)
ザオ・ロガン グループのトリプティクは豊富で、宇宙の源や人間と生物間の関係などに関するザオ族の観念を示します。この考え方によりますと、神は人間生活のあらゆる面に影響を与えられえるような超自然の権力を持っています。北部タイグエン省、ドンヒ県、ホップティエン村に住むザオ・ロガン グループ出身のチィエウ・ニュ・ホンさんは次のように話しました。
(テープ) Hong
「トリプティクは天の神様を祭るものです。天国と地獄があるとされています。ザオ族のトリプティクに全ての神様が描かれました。天とこの世に同じ神様が宿っていると思われています。」
ザオ族の数種類のトリプティクはターイ、ヌン、サンジュなどの民族のトリプティクと題材が同じです。その中に雷神、雨の神、風の神、雲の神にまつわるトリプティクがあります。ホップティエン村の祈祷師ダン・ホンさんは「ザオ族の正月や祭りにはそれぞれ異なるトリプティクが使われる」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ) Dang Hong
「各家庭はいずれも祭壇にトリプティクを飾ります。トリプティクは祭壇の衣といわれています。家族全員が祭壇に供え物をしなければなりません。年に、4つの祭りがありますが、家族全員がお酒や鶏を奉納する必要があります。」
ザオ族のトリプティクは信頼の表れで、大昔、生活に発生した各自然現象に関する住民の見方を示します。現在、科学が大きく進歩し、これらの現象に関して適切で、信頼にたる説明がされていますが、ザオ族はトリプティクや昔話を信じ保っています。
ホップティエン村人民委員会副委員長で、ザオ・ロガン出身のバン・フック・テ氏はトリプティクの存在価値について触れ、道理を重視するザオ族にとってこうしたトリプティクは信仰と信頼を示すものである。また、これらのトリプティクは教育効果があり、悪事を犯した人は神様により処罰されるという明確なメッセージを送っている」と明らかにしました。
旧正月テトが近づくと、村人は祈祷師に頼んでトリプティクを描いてもらいます。テトには、それを祭壇に飾り、子孫に儀礼の教育をします。フック・テ氏は次のように語りました。
(テープ) Phuc Te
「トリプティクは祈祷師しか描きません。飾る前に、豚肉や鶏肉を祭壇に供養し、お祈りの儀式を行う必要があります。大昔、ザオ族はテトニエンリエン(Tet Nien Lien)という儀式を行ました。神様の供養が行われた後、トリプティクを飾り、家族の若い者に民族の風習を教え込むのです。」
ザオ族の儀式としては、家庭規模の儀式でも多くの人々が集まります。壁に多くのトリプティクが飾られます。ザオ・ロガン グループのトリプティクは人文的価値と教育効果にあふれています。ですから、今も道教に関するザオ族、中でもザオ・ロガン グループのトリプティクが保存されています。