大自然の中で暮らしている少数民族ジェチェン族は、竹や籐などを使って家具を編むのが上手です。その中で、カゴは一番重要な家具であり、ジェチェン族の女性の日常生活と切り離せないものとなってます。
カゴを背負っているジェチェン族の女性
ジェチェン族のカゴは基本的に円柱の形をしており、底、紐、そして、本体といった3つの部分からなります。カゴの種類はたくさんありますが、品々を運ぶノム(Nom)というカゴ、稲を運ぶカ(Ka)というカゴ、そして、3つの中仕切りがあるクレク(K’lek)というカゴが一番よく使われています。
その中で、ノムというカゴは、他の民族と違ってジェチェン族ならではのものと評されています。ノムは、下の部分が細く、入り口の部分が大きいです。そして、その蓋は楕円形をしています。このカゴは横に模様があり、その模様を見ると、ジェチェン族のものだということがすぐわかります。
カゴは種類がたくさんあり、薪、農産物、服装、水など運ぶのに使われるもので、ジェチェン族の日常生活でよく見かける生活用具です。ハノイ国家大学で民族学を勉強しているグエン・ティ・フエンさんは次のように語りました。
(テープ)
「ジェチェン族の人々は畑へ行くとき、いつもカゴをもっていきます。このカゴは森で採れる産物のほか、畑で収穫した稲、トウモロコシ、タピオカなどを運ぶために使われます。何でも運んでしまうカゴですよ。」
3つの中仕切りがあるクレクというカゴ
カゴの編み方はかなり複雑です。森で竹を切って家へ持ち帰った後、台所で乾燥させてから編み始めます。カゴは普段2枚で編まれ、その2枚の間には木の葉が入れられます。それは、吸水対策になります。カゴの口は籐で編まれていて、きれいな籐の紐で本体と結び付けられます。蓋は本体と同じように編まれますが、蓋の端は籐で飾りつけられます。カゴには、模様がたくさんついており、それは、ジェチェン族の希望や願いが込められています。
カゴは、山と森で暮らしているジェチェン族の生活にとって必需品です。山の険しい道では、カゴがなければ、何も運べません。カゴを背負って、険しい道を容易に往来している人の姿はジェチェン族の居住地でよく見かける風景です。
収穫された稲を運ぶカゴ
特に、カゴは女性のお気に入りのマスコットでもあります。そして、カゴをみると、その女性の器用さと性格がわかるとよく言われています。ジェチェン族の居住地へ何回も取材したジャーナリストグエン・マイン・フンさんは次のように話しています。
(テープ)
「ジェチェン族のカゴは印象的でした。特に、カゴを背負っている女性の姿は私の目を引き付けました。山の険しい道なのに、重いカゴを背負う彼女たちは簡単に行けるんです。そして、美しい模様を施すカゴは彼女たちのアクセサリーのようです。」
現在、ジェチェン族の生活はかなり変化していますが、カゴだけはそのまま、重要な存在であり続けています。