北部山岳地帯デイェンビエン省、ディエンビエン県、ムオンファン村に行く道の両側に黄色い畑が広がっています。今のところ、ムオンファン村に住むタイ族の各家庭はいずれも新米の収穫を祝う儀式を準備しています。これは古来から伝わる民族の風習です。
新米収穫お祝いのための供え物
ムオンファン村、ブア集落に住むクァン・バン・トゥンさんの家族は新米の収穫を祝う儀式を行った後、親戚にもご馳走しました。トゥンさんは次のように話しました。
(テープ)
「皆さんよく来てくれました。新米の収穫を祝う儀式に参列していただき感謝申し上げます。みんなで、乾杯しましょう。」
儀式に参加した人々はトゥンさんに対して祝いの言葉を述べました。トゥンさんの隣りのロー・バン・ブンさんは「新米の収穫を祝う儀式はムオンファン村に住むタイ族の人々にとって有意義な出来事である。どんなに忙しくても儀式に参加しなければならない」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「本日、トゥンさんは新米の収穫祝い儀式をやるので、私は参加させていただきました。トゥンさんのご家族に一年の豊作をお祈り申し上げます。」
地元のタイ族の考えでは豊作になるためには神様と祖先の祝福がなければならないとしています。それで、収穫する前、各家庭は新米の収穫を祝う儀式を行い、神様と祖先の恩に報いる気持ちを表します。住民の一人ドゥオン・バン・リエンさんは次のように語りました。
(テープ)
「各家庭は順番に儀式をします。私の家は2日前に、開催しましたよ。こうした料理を作りました。タイ族の独特の料理としては鶏肉があります。また、ご先祖には鶏肉のほか、穀物、果物をお供えします。」
儀式後、親戚や隣の人と一緒に乾杯
新米の収穫を祝う儀式は家族団らんの一時です。その意味で、家族全員は一時的に仕事を棚上げにして、儀式に参加します。さきほどのトゥンさんの孫ロ・バン・ズンさんは次のように明らかにしています。
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「ムオンファン村に住むタイ族の人々と同様に毎年、収穫を前に、新米の収穫を祝う儀式を行います。これはご先祖から伝わってきた風習であり、今も変わりありません。ムオンファン村の住民の本業は稲作であることからこの儀式は極めて重要な意義があります。」
タイ族は祖先に敬愛の意を表すため、豚肉や鶏肉、果物のほか、新米で炊いたご飯を供えます。また、新米の収穫を祝う儀式の開催日は決まっていません。家庭にとって開催日が違います。ムオンファン村党委員会のロー・バン・ビエン書記は次のように語りました。
(テープ)
「10日毎に、儀式を行います。また、人数が多い家族は5日に一度儀式を開催します。新米の収穫を祝う1ヶ月間で3回も儀式を行うのですが、どんな日でも構いません。収穫の前、この儀式を行い、ご先祖に新米を炊いて供養するためです。」
この儀式はタイ族に何世代にも渡って伝わっており、タイ族の美意識と信仰を示しています。また、社会面でも意味深いものであると評されています。これは家族団らんの機会でもあり、村人の付き合いと団結を深化させるものとみられています。