(VOVWORLD) -ベトナム北部イエンバイ省ギアロ県に住む少数民族タイ(TAY)族にとって、笛セットは愛の象徴であり、民謡の魂でもあります。笛セットの音は、タイ族の人々の心情や考えを反映するものなのです。
長さ5メートルもある大きな笛セット |
タイ族の伝説にこんな話しがあります。昔々、貧しい家庭の男性は、笛を吹くのが上手で、経済的に豊かな村長の娘さんに愛されました。女性の家族はこの二人の恋愛を認めず、娘を隣り村の金持ちの男性と結婚させました。貧しい男性は悲しみにくれて、村を離れることにしました。ある日、川岸にある竹を見て、一本だけでなく、いくつかを束ねて笛をセットにして吹くと、悲しさが和らぐかなぁと思いつきました。その束ねた笛はいろいろな本音を出すので、人間の心の思いと考えを十分に物語ることができるとよく言われています。
(笛セットの音)
タイ族の笛セットは14本の竹を束ねたので、様々な本音を出す可能です。ですから、結婚式や祭り、男女の逢瀬などいろいろな場で使われます。笛セットは構造が簡単ですが、川や風の音はもちろん、人間の心と考えを反映させる音が出せます。笛セットの職人ロ・ヴァン・ビエンさんは、笛セットはタイ族の生活に欠かせない存在であると述べ、次のように語りました。
(テープ)
「笛セットは踊るとき、よく使われます。例えば、新築祝いや結婚式などタイ族のすべてのイベントは束ねた笛を使います。タイ族の踊りはすべて笛セットの演奏が必要です。若者からお年寄りまで年齢を問わず、皆、笛セットの音が大好きですよ。」
タイ族の笛セットを顕彰するため、先ごろ、現地行政府は職人たちに頼んで、長さ5メートルもある大きな笛セットを作りました。こうしたサイズでギネスベトナム記録に記載されたこの大型笛セットは今年の9月に行われた地元の文化・観光週間で、5人の職人によって演奏され、数千人による伝統舞踊の音楽ベースを作りました。ギアロ県人民委員会のホアン・ティ・ホン・ハイン副委員長は次のように語りました。
(テープ)
「今年の文化・観光週間は、タイ族の笛セットを集中的に紹介しました。これはタイ族の生活にとって非常に重要な楽器なのです。これまで、その楽器は十分な紹介をされてこなかったのですが、これからは特別な関心を払って地元の住民の生活に対するその楽器の役割を果たしてゆく方針です。」
タイ族の芸術の結晶とされる笛セットは、この民族の豊かな文化を示す独特な楽器で、これからも大切にされてゆくはずです。