(VOVWORLD) - 少数民族チュル族の文化はこの民族が居住している中部高原地帯テイグエン地方に足を運ぶ人を引きつけています。その文化は服装から伝統芸能まで様々な要素を通して示されており、今もなお大切にされています。
チュル族の歌 |
チュル族の文化に触れるならば、伝統芸能を抜きにして語ることはできないでしょう。チュル族の代表的な伝統芸能の一つは長歌です。長歌は五七調のうしろに付く調子で後世の各世代に向けてご先祖の生活ぶりや風俗習慣を歌にして語るものです。これはチュル族の無形の百科事典としても見なされており、チュル族の歴史を物語るものでもあります。
チュル族の伝統芸能に欠かせないものに楽器があります。楽器の種類はたくさんありますが、テイグエン地方に住む他の少数民族と同様、最も重要な楽器はドラです。ドラの音色は、チュル族のお祭りや、「タミャ・アリャ」(Tamya Arya)というチュル族ならではの踊りに欠かせない存在です。しかし、チュル族のドラはテイグエン地方の他の少数民族と違って独特な点があります。テイグエン地方の文化の研究者リン・ガ・ニエ・ダムさんの話です。
(テープ)
「チュル族のドラは3個でワンセットとなります。セダン族などこの地方の他の少数民族は多くの人がドラを手に持って回りながら、叩いたり歌ったりするのに対し、チュル族はドラをかけて演奏しますが、ドラを叩くのは一人しかいません。」
チュル族の陶磁器生産 |
チュル族は、巧みで綺麗な陶磁器を作ることでもよく知られています。陶磁器は12月から翌年の3月までの乾季の間作られます。チュル族の陶磁器はその素朴さが一番魅力的であると言われています。テイグエン地方の文化を研究しているルオン・タイン・ソンさんは次のように話しています。
(テープ)
「チュル族の陶磁器はチャム族と同様、陶磁器形成用の旋盤「ろくろ」を使わずに、全ては巧みな手で形成されます。焼くときも、昔と同じように、露天で焼きます。」
男性の指に指輪をはめさせる |
チュル族の独特な文化のもう一つは結婚に関する習慣です。母系社会なので、女性は結婚において主体的な役割を果たしており、今もなお、「夫を捕まえる」という習慣が残っています。女性がある男性を好きになった場合、女性の家族は男性の家族に贈物を持って行き結婚を申し込みます。もし、男性が受け入れなければ、女性の家族は、何とかして男性の指に指輪をはめさせ、女性のために夫を捕まえます。男性がどうしても受け入れられなければ、男性の家族は水牛やお酒などを用意して女性の家族に賠償しなければなりません。これについて先ほどの研究者ルオン・タイン・ソンさんは次のように話しています。
(テープ)
「チュル族の結婚習慣では、女性の家族は持参金を始め、結婚用品をたくさん用意しなければなりません。用意できずに、結婚できなかった女性もいました。結婚後、男性は女性の実家に住まなければなりませんが、その前は一時的ですが、女性が男性の家に住まなければなりません。」
現在、女性に高額の持参金を求める習慣はやや薄くなりつつありますが、子どもは母の苗字を持ち、家族の物事は全て女性が決めるという習慣はまだ変わっていません。