(VOVWORLD) - ベトナム南部のドンナイ省、ビンズオン省、ビンフォック省、バリアブンタウ省に暮らすチョロー族。彼らが大切にしている「サヤンヴァ」と呼ばれる稲の神祭りは、人と自然との調和を象徴する重要な儀礼です。この祭りには、豊かで幸せな暮らしを願う人々の思いが込められています。
祭りの供養として使われる餅を作っている村人 |
祭りは毎年旧暦3月15日から30日にかけて行われ、神々、特に農耕文化の象徴である稲の神への感謝を捧げます。
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「この祭りは収穫への感謝と先祖への報告の場です。米は天からの贈り物なのです」
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「農業を生業(なりわい)とする私たちにとって、稲の神は最も大切な存在です」
ドンナイ省ヴィンクー県フーリー村の有力者、グエン・ヴァン・ビエン氏によりますと、祭りが円滑に行われるためには、準備が不可欠です。「稲の神祭り」は、チョロー族の人々が稲の収穫から供物の購入まで、入念に準備を行います。
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「祭りの準備は一ヶ月前から始めなければなりません。様々な要素を整える必要があるからです。民族の伝統的な料理である焼き肉、竹筒ご飯、山の野菜などをすべて用意します。特に手間と時間がかかるのは、チョロー族の伝統的なお酒を仕込むことです」
祭りの中心となるのが「ネウ」と呼ばれる神聖な柱です。この柱は天と地をつなぐ架け橋とされ、人々の祈りを神々に届ける重要な役割を担います。同じくフーリー村の住民フイン・コン・ザインさんは、この柱はコミュニティハウスの中庭に立てられるとし、次のように語りました。
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「稲の神祭りは非常に手の込んだものです。天候、雨、豊作を象徴する『ネウ』と呼ばれる祭壇の柱があり、この柱は白と黒に塗られています」
お供え物 |
柱は森で採れる真っ直ぐな木で作られ、頂上には大きな稲穂の形が付けられます。サンショウクイと鶏の羽で装飾され、これらは力強さと知恵、村の繁栄を表しています。根元には供物として野生の豚や鶏、酒壺が置かれます。先ほどのザインさんは次のように語りました。
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「稲を高く吊るし、下のお酒の壺と紐で結ぶことで、稲の神が昇るための階段のようになります。これにより、村人たちが豊作に恵まれ、商売繁盛し、幸運を授かることを願います」
チョロー族にとって、生贄(いけにえ)として捧げられる二つの動物は豚と鶏です。これらの動物は丁寧に選ばれ、自然や森、山々との深い繋がりを持っています。フーリー村の住民の話です。
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「豚は野生の猪(いのしし)でなければなりません。ただ見かけた豚を買えばよいというわけではありません。10kgから15kg程度の、生きている豚が必要です」
儀礼は40歳以上の既婚女性たちが畑から稲の魂を迎えることから始まります。母系社会であるチョロー族では重要な決定は女性が行いますが、儀式の執行は男性が担当します。
(現場の音)
稲の魂を迎える行列が村に到着すると、銅鑼や太鼓の音が鳴り響き、一同で歓迎します。
儀礼の後は祝宴となり、人々は「ネウ」と呼ばれる柱の周りで銅鑼、竹製楽器、口琴の音色に合わせて踊ります。
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「私は次の世代が先祖代々の伝統を受け継いでいくことを願っています。私は自分の子どもたちに、どんなに遠くで暮らしていても、祭りの日には村に帰って村人たちと共に喜びを分かち合うよう伝えています」
稲の神祭り(サヤンヴァ儀礼)は、チョロー族のアイデンティティを象徴する重要な文化遺産として、今日も大切に受け継がれています。