北部山岳地帯ディエンビエン省に足を運ぶと、誰もが同地に居住している各少数民族の伝統衣装から住居、儀式に至るまで文化価値は昔のまま保たれていることに驚くことでしょう。また、タイ族についていうならば食文化を抜きにして語ることはできません。
同省のムオンライ県、ライヌア村に住む白タイ族のホアン・ティ・ハンさんは一人で十数種類もの料理を作り、綺麗に並べることができます。ハンさんはタイ族の女性なら木の葉や谷川の苔などからでも料理を作れる」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「季節、また、作り方によって、料理は違います。腕の器用さはどんな料理も工夫を求めますよ。」
ハンさんは十数種類の料理をつくるためには、半日もかかると明らかにしました。それぞれの料理は独特な味がしていて、並べ方も目を奪います。焼きもの料理は代表的なものです。豚肉や鶏肉、水産物などは焼きもの料理によく使われていますが、苔の焼きものは独自な料理といえるでしょう。苔はよく洗ってからチリ、ニンニク、ショウガ、レモングラス、油などと混ぜて、ゾンという大きな葉にくるんで、火で焼きます。その味は最高ですよ。
また、タイ族は料理を作るに際し、バナナの葉やゾンの葉を使います。ライヌア村に住むコアン・バン・ティエンさんによりますと、昔、タイ族は山岳地帯に住んで鍋などの料理道具が現在のように普及していなかったことから、食べ物に葉を入れて調理しました。今、生活は大きく変わりましたが、昔の習慣が保たれています。ハンさんは次のように語っています。
(テープ)
「タイ族の料理は豊富ですが、元々は貧しさが生み出したものです。今日、畑から帰る途中、何種類の葉を摘んできました。これらの葉は食べられるんですよ。また、魚を水揚げすることもできないので、苔を取ってそうざいを作ります。」
アヒル煮込み料理
他方、さきほどのハンさんはアヒルの肉を使った独特な料理の味と匂いについて説明し、次のように話しました。
(テープ)
「これはアヒルの肉とバナナの花から作った煮込料理です。3時間くらいをかけ、弱火で煮込みます。この料理にチリ、ショウガ、レモングラスなど色々な材料を入れますよ。」
バナナの葉に包まれた豚肉のミンチ煮込み料理
一方、豚肉のミンチもタイ族の女性の手にかかると美味しい料理となります。また、タイ族の代表的な料理としてカウセンという菓子が知られています。ハンさんは次のように語りました。
(テープ)
「かつて年に一度の旧正月テトにしか作りませんでしたが、今はよく作っています。タピオカをすりおろしてから煮ます。そして小さく押しつぶして、天日で乾燥させます。その後、好きな形にしますよ。」
カウセン菓子
タイ族の毎日の食事にはオコワがよく出てきます。お客にご馳走する時、この料理が綺麗に見えるように、木の葉を使ってオコワを紫や黄色いに染めます。
タイ族の料理を味わうと女性たちの器用さを実感できることでしょう。女性たちは質素な材料でもタイ族ならではの独特な食文化を作り上げています。