ティ族の民謡テン(Then)は儀式民謡であり、テンの歌い手により祭壇の前で歌われます。また、北部クァンニン省、ビンリエウ県に住むティ族はデートや結婚式でもテンを歌います。
テンを掛け合う会
今年、82歳になったノン・ティ・シンさんは今でも若い頃のように、テンを歌うことができます。シンさんは「ティ族の若い男女は自由に結婚相手を選ぶことができる。彼らは逢い引きをする時、テンを歌う」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「市場など何処かへ行く途中で、気に入った人に出会ったら、民謡テンを掛け合います。掛け合う時間は決まりません。」
民謡テンの歌詞は比喩、比較、風刺などの言葉から構成される独特な詩であり、人文的価値が深いです。ビンリエウ県の移動宣伝グループのゴ・ティエン・シンさんは次のように明らかにしました。
(テープ)
「テンはティ族の詩そのものです。比喩の言葉には深い意味があります。テンは隠喩であり、地元住民さえも分からない言葉がありますよ。デートの時、歌われるテンには決まりがありません。相手同士は問と答えの歌詞を掛け合うのです。」
お客が訪れた時や新居への引越しを祝う式、祭りや、イベントではテンの問答が欠かせません。カップルやグループで民謡テンを掛け合うことで、相互理解が図られます。テンは即興で歌われることから、楽器の演奏はなくても構いません。さきほどのシンさんは次のように語りました。
(テープ)
「男女のカップルではなくても、テンを歌えます。一人が女性、あるいは男性を演じ、4つの言葉ずっつ交わします。質問に正しく答えられなければ、お酒を飲ませられます。また、長老たちは家族の幸福や長寿を祝う歌詞を歌います。」
また、民謡テンはビンリエウ県に住むティ族の結婚式でも披露されます。ビンリエウ県の住民ト・ディン・ヒエウさんの話です。
(テープ)
「お祝いのイベントや結婚式には両家はそれぞれテンの歌い手グループを用意しなければなりません。花婿の代表団が女性の家に着いた時、テンを歌いながら、ドアを開け、花嫁の所持品などを尋ねる必要があります。」
さらに、結婚式で披露される民謡テンには新婚夫婦や両親を祝福する内容もあります。
クァンニン省、ビンリエウ県に住むティ族のテンは住民の文化色を示し、住民の精神を支える上で、国内各地に住むティ族の民謡テンの多様化に寄与しているとしています。
Hai Huyen (VOV4)