テイ族とヌン族 「祭壇や農具に赤い紙を貼る」お正月の習慣
(VOVWORLD) - 北部山岳地帯に居住する少数民族テイ族とヌン族のお正月は旧暦で祝います。お正月には、独特な習慣がたくさんありますが、中でも、不幸を好転させるための「祭壇や農具に赤い紙を貼る」という習慣はお正月を楽しむにあたり欠かすことのできない習慣です。
祭壇に赤い紙を貼り付ける。 |
テイ族とヌン族の文化研究者ズオン・サックさんによりますと、テイ族とヌン族の考えでは、赤い紙は太陽の光や陽気を象徴するものであり、楽しみや幸運などの兆しでもあるので、新年に赤い紙を貼ることはよい年になることへの願望です。貼られるところは祭壇はもちろん、農具や家具、ドア、窓などでもあるとしています。サックさんは次のように話しました。
(テープ)
「テイ族とヌン族の考えでは、赤は燃える木炭の色なので、悪魔を追い払って平穏を祈るためのものです。そのため、テイ族とヌン族の祭りや行事はいつも赤があります。宴会のテーブルは赤い布に覆われるとか、結婚式で婚礼用品に赤い紙を貼るとか、お正月に祭壇や家具、豚小屋などには赤い紙を貼らなければなりません。また、農具は人間のように魂があると考えられています。農具は一年間がんばってくれたので、正月には赤い紙を貼って休ませます。これは、一緒に働いてくれた農具を大切にするという考えから生じた習慣です。」
家のドアに貼り付けられる赤い紙 |
カオバン省フックホア県チエウアウ村に住むテイ族の一人グエン・ヴァン・ヴィさんによりますと、お正月の前に、村人は料理やお菓子、新しい衣服の他、必ず赤い紙を買います。赤い紙はしわのない、厚くてきれいでなければならないとしています。ヴィさんの話です。
(テープ)
「我が村の人々は旧暦の12月29日か30日に、漢字が書ける祈祷師に赤い紙に好きな漢字を書いてもらってから、祭壇に貼り付けます。しかし、新しい紙を貼り付ける前に、1年前に貼り付けた古い紙を剥がした後、ザボンの葉と一緒に沸かした水で祭壇を掃除しなければなりません。祭壇の他、家のドアと柱、牛小屋の入り口、クワ、シャベルなどにも赤い紙を貼ります。祭壇と家のドアに貼り付けられる紙の数は奇数でなければなりませんが、3、5、7が一般的です。家具や農具などは1枚しか貼り付けられませんが、そのサイズは6x10センチでよいです。これは、新年に家族全員が健康で平穏な生活を送るとともに、仕事もうまく行くことを祈るためです。」
1年前に貼り付けられた紙は外した後、燃やされます。これはその一年で遭った不運を消すことを意味します。古い紙は捨ててはいけません。牛などに踏まれると、新年に多くの不運が訪れると考えられるからです。
かつては、祭壇に貼り付けられる紙は祈祷師に漢字を書いてもらうだけでしたが、礼拝用の赤い絵や赤い対句を貼る人が多くなっています。また、他のところに貼り付けられる紙は「金星紅旗」と呼ばれるベトナムの国旗を印刷する紙を使う人も増えつつあります。