バナ族の錦織は古くから伝わる職業です。手づくりの錦はエレガントな模様が取り入れられ、バナ族の文化や人柄を表すとされています。
バナ族の女性は12~13才になると、母親から錦の織り方を教わります。結婚する前まで、綺麗な衣服を作らなければならないからです。バナ族出身の女性ならば、誰もが錦織ができます。女性たちの器用な手先で作られる独特な衣服や布団、絨毯などがよく知られています。特筆すべきは織機が木で造られ、とてもシンプルなものですが、女性たちは綺麗な紋様がついた錦を織れるということです。中部高原地帯ダクラク省の民族博物館のガイドダオ・トゥ・グェットさんはバナ族の錦織展示コーナーを紹介し、次のように語りました。
(テープ)
「昔、布地の材料は主に綿でした。布地をつくるためには綿の収穫、製糸、染色など多くの工程を済ませなければなりませんでした。今、機織は伝統的な方法で行われますが、糸は紡績機で作ったものです。ただ、模様は昔のままです。」
グエットさんはこのように語りました。
バナ族は常に黒、赤、黄色など、強い印象を与える色を使い、それぞれの色には独特な意味があります。例えば、黒は肥沃な土地、赤は渇望と恋、黄色は光を象徴します。また、錦には機織職人の気持がこもるとしています。錦の模様は左右相称的に配置され、宇宙、陰陽、天、土地、自然に関する観念を示します。ダクラク省民族委員会の幹部ブイ・バン・ナムさんの話です。
(テープ)
「住民たちの伝統的な錦は綺麗で、丈夫です。錦を織るには数年間かかることもありますが、長い年月、使用できます。」
これまで、バナ族は錦織という伝統職業の維持に取り組んできました。しかし、この数年、市場経済の発展につれ、手織りの製品は激しい競争にさらされています。錦織ができる人は年を取ってしまいました。こうした事情を踏まえ、少数民族の機織の保存・発揮を目指す様々な解決策が打ち出されました。ダクラク省の民族博物館の館長ルオン・タイン・ソン女史は次のように明らかにしています。
(テープ)
「各少数民族の文化保存は国家の重要な主張です。これまで、錦織をはじめ、伝統職業を教える教室の開催など、様々な保存措置が実施されてきました。一方で、住民たちが伝統文化を愛好するように宣伝を強化しなければなりません。そうして、はじめて文化の保存が図られるのです。」
文化部門は具体的な措置を取ると同時に文化交流やバナ族をはじめ、少数民族の伝統衣装コンテストなどを開催しました。これにより、少数民族の独特な文化が保たれることでしょう。